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フジ月9『科捜研の男』テレビ欄の「巨悪へ復讐」は控えめに言っても詐欺に近い

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 関ジャニ∞・錦戸亮が主演を務める連続テレビドラマドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)の第10話が11日に放送され、平均視聴率は前回から0.8ポイント増の10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。第6話以来、4週ぶりの2桁復帰である。

 このドラマは、陰惨な過去を持つ科捜研法医研究員・真野礼二(錦戸)が、現場に残された痕跡をもとに事件の真相に迫るサスペンス。新人の法医研究員・沢口ノンナを新木優子が、捜査一課のベテラン刑事・虎丸良平を船越英一郎が演じる。

 今回は、元テニスプレイヤーの原田恭一(上杉柊平)が歩道橋の階段から転落死したという事件に隠された真相を解き明かすストーリー。警察ドラマである以上、転落死ではなく実は他殺であると真野らが見抜くところまでは、お決まりのパターン。今回も真犯人を突き止めて事件解決か、と思われたが、さすがに最終回直前の回だけあって縦軸のストーリーも同時進行した。

 縦軸のストーリーとは、真野の兄が自分以外の家族を殺した末に自殺したとされる「武蔵野一家殺人事件」の真相だ。真野は独自にこの事件を調べており、兄の無実を晴らそうとしている。だが、新証拠はなかなかそろわず、事件の関係者にもなかなかたどり着かない。そうこうしているうちにドラマは進み、ついに10話まで来てしまったというわけだ。

 今回の事件は、意外なところで武蔵野一家殺人事件と結びついていた。原田が所属していたチームのオーナー・佐保優作(袴田吉彦)は、自殺したとされる真野の兄・義一とかかわりがあったのだ。それを教えてくれたのは、真野の協力者である高校教師の早川(萩原聖人)。早川によれば、佐保は義一をいじめていたグループのひとりだったというのだ。佐保は当時の出来事についてなんらかの事情を知っているはず。最終回に向けて、いよいよ真野が動き出す。新聞のテレビ欄にも「遂に最終回目前! 隠蔽した巨悪へ復讐」と書かれていたのだから間違いない。

 と思ったら、佐保は爆発に巻き込まれて死亡(したと思われる)。余計なことを話さないように、誰かに始末されてしまったのは明白だ。結局、真野の復讐はまだ始まってさえいない。「隠蔽した巨悪へ復讐」のあおり文句は、控えめに言っても詐欺に近い。

 とはいえ、事件の真相を徹底して隠蔽しようとする何者かの存在がより明白になったことで、最終回での「復讐」に期待を持たせる回となったことは間違いない。さらに、事件の真相に迫る重大な事実が科学捜査によって判明した。真野の姉を妊娠させた男と、真野の家族を殺害した犯人は同一人物の可能性が高いというのだ。

 この鑑定結果を虎丸に伝える時、真野は一瞬だけ笑った。しかし、つらい事実を話している間にみるみるうちに目に涙をため、その涙が頬を伝っていく。錦戸亮は初回から一貫して感情を抑えた人物として真野を演じてきたが、その演技がここで生きてきたといえよう。大げさに泣くわけでも、犯人への怒りをあらわにするわけでもなく、ただ静かに涙を流したのだ。

 ネット上には「あまりにも美しすぎる涙」「ようやく感情をあらわにした真野の涙がとてつもなく悲しい」「言葉にできない諸々を含めた小さな笑みを交えたりするのが本当にリアルですごい」など、このシーンへの賛辞が多く投稿された。

 いよいよ最終回だが、今のところ「武蔵野一家殺人事件」の真相に関わると思われる怪しい人物は、真野の協力者である早川か、刑事部長の壇浩輝(千原ジュニア)しかいない。ただ、そのどちらもあからさまに怪しいため、逆にこのふたりは単なるミスリードではないのかとする予想も少なくない。個人的にはこのドラマ、武蔵野一家殺人事件の片がついた「シーズン2」をつくったほうが面白くなる気がしているのだが、とりあえずは真野の過去にまつわる話を無理なくたたんでほしい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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