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“レオパレス発”金融ショックの足音…国の違法建築一斉調査に不動産業界が戦々恐々

文=小林紘士/不動産ジャーナリスト
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 筆者の知る不動産業界関係者たちは、この問題について、おおむね「出るものが出てきた」「遅かれ早かれ、こうなるだろうとは思っていた」という受け止め方が多い。賃貸であれ、中古物件の売買であれ、レオパレスのアパートを取り扱ってみれば、モノ(建物)が安いと感じていたのだろうから、こうした感想もうなずける。ただ、ここまであからさまな違法建築だったと思っていた人は少ないようで、実際に「やりすぎ」「ここまでとは思わなかった」という声が多い。

 だが、こうした感想を持つのはアパート業者(自社でアパートを建て販売する業者)や賃貸業者の人で、レオパレスと同業の他社は戦々恐々としているようだ。上記の記事のまとめでも出てくるが、国交省が同業他社についても調査を始めると公表したからだ。筆者が知る関係者は多くが営業サイドなので、建築の細かい点(施工の検査のことなど)については、自社を信じて販売しているが、果たして自社が施工した物件に問題がないかについて、100%の自信を持てないのも致し方ないのかもしれない。

 事ここに至っては、同業他社も含めて膿はすべて出してしまったほうがいいのだろう。後々のことを考えれば、そのほうが業界のためになるといえる。

不透明な補償の範囲

 他方、今後の補償などについても気になる。

 まず、今回もっとも被害を受けたのは間違いなく入居者だが、入居者についてはテレビをはじめとするさまざまなメディアで個々の入居者のコメントを紹介している。特に、3月末までに引っ越しを要請された7700人以上の入居者は、引っ越し先の確保や、一時的にしろ持ち出しとなる金銭的な問題、そもそもこの時期に引っ越しできるかといった不安など、さまざまな面で被害を被っている。さらには、次の物件は大丈夫かという住宅に対する不安にまでつながっているようだ。

 移転にかかる費用は全額レオパレス側が負担すると発表しているが、全額とはどこまでをいうのか、精神的な被害に対する補償はどうなるのかという点がはっきりしていない。

 オーナーについては、任意ながら同社のオーナーで構成するオーナー会があり、そこを中心に集団訴訟の動きや政府への提言などを表明しており、一定の主張の場がある。しかし、一番の被害者である入居者の被害者の会などは発足されていないようだ。本来、もっとも立場の弱い入居者の声に耳を傾けるべきだが、個々の声がメディアで小さく取り上げられるだけでいいのだろうか。

 後手を踏む同社に代わり、国交省にはここにも配慮してほしいと思うばかりだ。

 そして、高額な金額を支払って、違法建築物を所有していることになったオーナーも被害者であることは間違いない。特に、ローンを利用して建設したオーナーにとっては、その返済もあり、経済的・精神的に大きな負担となっている。

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