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日本の「ごみ処理」が売られるⅡ その3

東京3市・ごみ処理場、民間委託契約めぐり不正行為…企業の言いなりで巨額税金を無駄に

文=青木泰/環境ジャーナリスト
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 ところが工事契約等の請負契約は、受注事業者は、求められる成果物に対しての責任を負うことになる。発注する自治体が契約プランを設計図に描き、求める完成形を示し、それに対して応札する事業者が、いかに安く、要件に合致する成果物を提供できるかが、入札で争われる。もし要求される成果物に瑕疵が見つかった時には、賠償すら要求される。したがって工事を委託契約で扱うことはできない。

 長期包括契約の実施自治体のなかには、柳泉園組合のように大規模改修工事まで含める事例はないと考えられるが、運営管理と補修工事を一体で契約するケースは見受けられる。その場合は、運営管理の上でトラブルが発生し、それを解決するために補修まで含め契約するというかたちになっている。

 しかし、委託契約のなかに、成果物への責任が問題となる工事まで含めてしまうと、その受託事業者に工事の必要性や工事内容、工事金額まで委ねることになり、明らかに自治体としては違法な丸投げ委託になる。

 ところが、柳泉園組合の契約では、長期包括契約のなかに大規模改修工事を包含させていた。柳泉園組合は違法性を意識していたためか、当初、議会での説明では工事契約を含むことを隠して説明し、委託契約であるために議会の了解は必要ないと説明してきていた。

助役を処分し「議会承認はいらない」を取り消す

 17年4月20日、柳泉園組合は長期包括契約の議会承認を行うとし、臨時議会を開催した。開催理由を、長期包括契約の契約にあたって弁護士に相談したところ、「議会承認が必要」となったと説明した。そして、これまで議会の承認は必要ないと説明してきた本件契約の責任者である助役の減給処分を行い、議会承認を獲った。

 本件について住民らが行政訴訟に踏み切り、長期包括契約の是非が具体的に論議されることになり、慌てて契約手続き上の問題・瑕疵を修正する必要に迫られたとみられる。

 柳泉園組合の例規によれば、「請負工事契約は、1億5000万円以上は、議会承認を得ること」が明記されているが、本件長期包括契約では、これを委託契約として説明し、入札手続きを進めてきたことを考えた時、16年8月の入札公告に遡り、契約手続きをやり直す必要があった。17年4月の時点になって、議会に諮ればすまされる話ではない。振り返って点検しても、以下の点が指摘できる。

・入札公告時点で、大規模改修工事と、運転管理や維持管理等の管理業務の入札を分けて呼びかける必要があった。

・その際、工事契約を呼びかけるなら、改修工事の必要性を調査し、改修箇所を示す必要があった。

・工事契約を実施するにあたっては、改修箇所の設計図や工程表を示し、求められる工事内容を示す必要があった。これらは欠落し、委託予定の事業者に成果物のイメージを説明させ、その評価を行っていた。

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