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ポスト五輪の東京~2020年以降も勝つまち、負けるまち~一極集中を裏で支える東京の本当の実力

「メイド・イン・トウキョウ」が世界を席巻…東京の製造業が衰退しない理由

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『下町ロケット』の佃製作所の社屋としてロケに使用された桂川精螺製作所本社(東京都大田区矢口)(「Wikipedia」より/Doricono)

 USスチールの本社があるピッツバーグ、ゼネラルモーターズが本拠を構えるデトロイト、エリー湖畔のクリーブランド。重工業の一大集積地であり、米国が「世界の工場」と呼ばれた時代、繁栄を謳歌した五大湖周辺一帯は脱工業化の進展に伴いラストベルト(ラストとは錆のこと)化への道を余儀なくされている。上記各都市の人口は1960~2010年の50年間で半減、あるいはそれ以上に急減しているという。所得水準もガタ落ちしていることは想像に難くない。

 数年前、『年収は「住むところ」で決まる』(プレジデント社)という本が話題を呼んだ。シリコンバレーに住む高卒の店員は、工業都市に住む大卒エリートより収入が多い。この説がラストベルトを想定したものであるのは間違いがない。

 では、我が国ではどうなのだろうか。図表1は、1990年の国勢調査において第2次産業就業人口比率が高い地方都市20市を選び、その過去と現在を比較したものだ。数値比較の因子を揃えるため地方都市に限ったこと、平成の大合併の影響を除くため、データごとに比較対象を変えていることなどについては、表の脚注をご覧いただきたい。


 結論を一言で整理すると、所得水準は各都市とも低下しているが、全国平均も約10%下がっており、それほど大きな低迷とはいえない。人口は、増えたところもあれば大きく減ったところもある。ただし、この間に県庁所在地を除く中小都市部の人口は、秋田県と高知県の20%超をはじめ、17の県で10%以上減少している。だとすれば、ことさら「ラストベルト化」と呼び得るような事態はやはり生じていない。

謎を解くカギは『下町ロケット』にあった

 図表1に挙げた都市のなかには、湖西のスズキ、府中のリョービ、太田のスバル、黒部の吉田工業(YKK)などのように、企業名が思い浮かぶまちもある。だが、それはむしろ少数派だ。美濃の紙、燕の洋食器、鯖江のメガネ、岡谷の精密機械、井原のジーンズ、関の刃物、土岐の焼物、西尾の鋳物、見附のニット。まず産品がイメージされるまちのほうが断然多い。

 筆者が比較的よく知っている、群馬県の桐生市を取り上げてみよう。あらためていうまでもなく、桐生は絹織物のまちだ。と同時に、織物と不即不離の関係にある繊維機械のまちでもあった。戦後、桐生ではガチャンとひと織りすれば万単位の金が舞い込む好景気が訪れる。しかし、「ガチャ万バブル」はほどなく崩壊。だが、桐生の機械職人たちはそれで終わらなかった。戦時中、お隣の太田市の中島飛行機に徴用され輸送機械の技術を身につけていた彼らは、自動車産業への大転換を図ったのだ。

 選んだのは、同じ中島飛行機の流れをくむニッサン系列。ところがその後、日産自動車は経営危機に直面し、リストラが断行されていく。土俵際まで追い詰められるなかで、地元に根づいた機械製造技術は第3の転換を果たす。答えはパチンコ機械。パチンコメーカーの平和もソフィアも、桐生を発祥の地とする。今やパチンコ機械はハイテク技術の塊のようなもの。その技術蓄積は、第4、第5の転換に向けた準備ともいえるだろう。

『なぜか惹かれる足立区~東京23区「最下位」からの下剋上~』 治安が悪い、学力が低い、ヤンキーが多い……など、何かとマイナスイメージを持たれやすい足立区。しかし近年は家賃のお手傾感や物価の安さが注目を浴び、「穴場」としてテレビ番組に取り上げられることが多く、再開発の進む北千住は「住みたい街ランキング」の上位に浮上。一体足立に何が起きているのか? 人々は足立のどこに惹かれているのか? 23区研究のパイオニアで、ベストセラーとなった『23区格差』の著者があらゆるデータを用いて徹底分析してみたら、足立に東京の未来を読み解くヒントが隠されていた! amazon_associate_logo.jpg

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