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ヤクルトスワローズの名クローザーから2軍監督へ 高津臣吾の「育成論」

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※画像:『二軍監督の仕事』(光文社刊)

 昨年、高校野球を盛り上げた高卒の新人選手たちの多くは2軍スタート。北海道日本ハムファイターズの吉田輝星投手、柿木蓮投手や、怪我の影響から中日ドラゴンズの根尾昂選手も2軍で球春を迎えた。

 プロ野球の球団には、1軍とファームと呼ばれる2軍、さらにチームによっては3軍まである。

 2軍では若手をはじめ、リハビリ中の選手や調整中のベテランなどが虎視眈々と1軍での活躍を目指し、プレーをしている。もちろん勝利も大切が、「育成」の場という要素が大きいのが2軍だ。

 では、そんな2軍を指揮する「二軍監督」はどんな仕事をしているのだろうか。

 ヤクルトスワローズの抑え投手として日本通算286セーブ、メジャーリーグや韓国、台湾、独立リーグでもプレーした東京ヤクルトスワローズ二軍監督の高津臣吾氏の『二軍監督の仕事』(光文社刊)に、その答えが書かれている。

■レベルの高さのギャップを乗り越えさせるために

 プロ野球の世界に入ってきてばかりの新人選手たちは、プロのレベルの高さにカルチャーショックを受ける。そうしたショックから、少しずつでも自信を持たせ、プロレベルに慣れさせていくのも高津氏の仕事だという。

 その際、現実を見させて「これがプロの世界だ」と言っても無駄と高津氏。それよりも園選手のいいところを見つけてあげることが、心理的なギャップを埋める作業につながると語る。

 これは一般社会と同じことがいえるだろう。成長は周囲からの言葉で気づくことも多い。だからこそ、高津氏は二軍監督になってから前向きな言葉を探すことが多くなったという。そして、「ストレート、キレ出てきたなあ」「打球が見えんかったぞ」など、実感したこと素直に伝えているそうだ。

■高津監督が2番に長打力のある選手を置く理由

 試合で打順を決めるのも高津氏の仕事だが、打順決めはワクワクするそうだ。

 打順決めにはいろいろな発想があるが、高津氏の場合は「ビッグイニングをどうやったら作れるだろう?」というのが基本。そして、試行錯誤を重ねた結果、「2」「6」「9」が打順の中では重要な位置を占めていることに気づく。

 日本の野球の場合、長打力は低いが犠牲バントが上手い器用な打者が2番を打つことが多いが、近年のメジャーリーグでは2番打者が重要視され、強打者が座ることが多い。最近では、ロサンゼルス・エンゼルスでマイク・トラウト選手が2番を打っている。

 高津氏も同じ考えで、2番には選球眼が良く、長打力のある打者を置きたいという。2番打者が打ってチャンスを広げる役割を果たしてくれれば、ビックイニングを作れる可能性が大きく広がる。この打順に座る選手はワクワクさせてくれる選手でなければいけない、というのが高津氏の考えだ。

 高津氏は現役時代、クローザーとしてマウンドに立っていたときは「これ以上の仕事はない」と信じていたが、今は若手を育てるこの仕事こそが生き甲斐だと思えると述べる。 そして、二軍監督として高津氏が心掛けているこことは、選手が気分良くプレーできるかどうか、その環境を忘れないことだという。

 二軍監督の仕事や将来ヤクルトの中心選手となる若手の名前もたくさんあがっている本書。村上宗隆選手、梅野雄吾投手、高橋奎二投手ら、昨年1軍で実力の片鱗を見せた選手たちが今年どんな旋風を巻き起こしてくれるのか期待が高まる。

 ヤクルトファンはもちろん、他球団のファンも敵情視察という意味で読んでみるのも面白いかもしれない。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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