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ゴーストタウン化する東京の高級住宅街…富裕層は厄介な広い一軒家より都心タワマンへ

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 建蔽率とは、土地面積全体において住戸が占める可能な面積の割合をいう。例えば100平方メートルの土地で建蔽率70パーセントなら、70平方メートルの家を建てることが可能だ。しかし、住宅地では建蔽率が低く抑えられているうえ、高級住宅街では住民組織の地域ルールにより、建蔽率の上限目いっぱいまで家を建てることもはばかられる。

「建蔽率の上限いっぱいまで家屋を建てると、街に窮屈な雰囲気を漂わせてしまいます。また、街の風景に不似合いなブロック塀も街の調和を乱す原因です。住民組織としては、住宅街の雰囲気を保つために、生け垣を巡らしたり庭に植物を植えるといったルールも守ってもらうようにお願いしています。しかし、明文化しても『知らない』『勝手に決めるな』『自分の家なんだから、自由にさせろ』と突っぱねられるケースが増えています。以前とは異なり、住民同士のコミュニケーションが欠乏しているのです」(同)

厄介者扱いされる広い一軒家


 高級住宅街が高級住宅街でいられるのは、個々の家屋だけによるものではない。公共インフラである道路や公園も、街並みに品を醸し出し、高級住宅街の格を上げている。しかし、そうした近隣の公園や街路樹でも、落葉の掃除や虫の駆除といった手間・費用面から忌避される傾向が強まり、高級住宅街で緑は減少している。

 そして、高級住宅街を悩ましているのが遺産相続の問題だ。今般、大きな邸宅は遺産相続で手に余る物件と見なされるようになった。高級住宅街の邸宅は高額になるため、莫大な相続税も悩みの種だ。物件を取り扱う不動産会社からも、敷地面積の広い家は売り手がつきにくく、厄介者扱いされる。

「現在、不動産業界は広大な敷地を細分化して、できるだけ多く住宅を建てるのが主流になっています。広大な一軒家なんて、欲しがる人は稀です」(不動産業界関係者)

 土地の細分化は、街の雑多感を加速させる。そうした土地の細分化を防ぐルールを設定している高級住宅街の住民組織もあるが、それでも「細分化を防ぐと言っても、時代の流れもあって昔ほど下限制限は厳しくない」(同)としている。

 いくら手段を講じても、高級住宅街の衰退に歯止めがかからない。今般、富裕層は都心部のタワーマンションを好む傾向が強い。わざわざ都心から遠く、閑静な街の広大な一軒家に住もうとする酔狂な者はいない。

 バブル期には誰もが憧れた高級住宅街でも、空き家が目立ち始めた。もう高級住宅街に憧れる時代ではない。高級住宅街がゴーストタウンに転落するのも時間の問題だろう。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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