リピーターを掴めるまで、本当に成功したとはいえない

 では、楽天西友の具体的な好調の理由はどこにあるのだろうか。

楽天西友ネットスーパーは、楽天と西友それぞれの、商品ラインナップの良いところを組み合わせているのが特徴です。たとえば西友では、『まるまる白菜1つはいらない』というような一人暮らし向けや高齢者夫婦向けに、カット野菜やミールキットを販売しています。一方、楽天には農業サービス『Ragri』というものがあって、有機野菜などを扱っています。それらがセットになって、楽天西友ネットスーパーにラインナップされていることが最大の特徴でしょう。また、西友側としては、楽天西友ネットスーパーなら、顧客が楽天ポイントをためられるというのも大きいのではないでしょうか。楽天ポイントは、比較的多くのところで使えるので、顧客の固定化につながりますからね。

 ただ、サービスが好調といわれていますが、今の段階で成功と判断するのは、まだ早計でしょう。『出だしが好調』というのは、新たな顧客が獲得できているということなのでしょうが、もっとも重要なのはどれだけリピートしてもらえるか、ということです。

 初期の報道によれば、2019年から2020年にかけて黒字化を目指すとありました。つまり、少なくとも半年から1年ほどは、楽天西友としても投資の期間だと考えているはずです。ですから損益分岐点をどれだけ早く、どれだけ大幅に超えられるのかということが重要になってきますし、それによって本当に成功といえるかどうかが決まると思います」(同)

他社と同様のサービスで、どれだけ差別化できるかが鍵

 では、これからの楽天西友が本当の意味での成功を収めるためには、何が必要なのだろうか。

「今から数年は、ネット通販市場は伸びていくと思いますが、日本は人口が減っていくなかで、当然ながら市場にいるネットスーパー事業者は淘汰されていくはずです。それも遠い将来ではなく、意外と早くその時期が来るのではないでしょうか。そのなかで楽天西友ネットスーパーが生き残っていくためには、たとえば『配送料が安い』といった利点だけでは駄目でしょう。通販の鉄則に『いまだけ、ここだけ、あなただけ』というものがありますが、やはり『ここだけ』というような価値を、いかに提供できるかが重要になってきます。

 いわゆる差別化をどれだけ図れるかという話なのですが、『差別化』という言葉を聞くと、他社が行っていない独自のサービスを展開することだと、思っていらっしゃる方が多いと思います。ただ、独自のサービスを展開するということよりも、他社と同様のサービスにおいて『こっちのほうがいい』と認知させることのほうが、より重要な『差別化』なのです。ですから今後は、他社より良い物やサービスを提供し続け、顧客から他社より良いと認知されるように、差別化していくことが大切になってくるでしょう」(同)

 ひとまず順調な滑り出しを見せた楽天西友ネットスーパー。しかし、この勢いを維持し、サービスを軌道に乗せるためには、繰り返し利用してくれる顧客を、確実に掴んでいかなければならないようだ。楽天西友ネットスーパーが、ネットスーパー市場で真の勝者となれるのか、これからも楽天と西友の動きに注目していきたい。
(文・取材=後藤拓也/A4studio)

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