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大東建託の闇…家主を不幸に落とす強引営業の手口、契約解除めぐり消費者団体が是正申入れ

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一方的に管理契約を解約できる取り決め


 大東建託といえば、強引な営業手法が有名だが、それが契約解除の増加とどう関係しているのだろうか。

「大東建託では半年とか1年とかの一定期間内に契約を取れない長期無実績の営業マンには、あるエリアを1軒ずつ回る飛び込み営業を延々とやらせます。携帯電話のGPSで居場所を見張らせるなどして、ノイローゼで自殺した社員もいます。長期無実績になると、給料も下げられて、休みも取れずにきつくなって辞めていく。逆に契約を取って着工中の物件が完成すればインセンティブが入る仕組みです。

 しかし、完成するまでの間も新規の契約を取り続けないといけません。新規の顧客を開拓するのは簡単ではないので、過去に建てた実績のあるオーナーに2棟目、3棟目を建てさせます。リピート客と呼ばれます。それでも業績が足りなければ、なかには架空契約をする社員が出てきます。最初から無理だとわかっていながら地主に頼み込んで形だけの契約を取るのです。契約さえ取れば当面のノルマは達成し、会社にいることができます。申込金の30万円を社員が立て替えることがよくあります。形だけの契約なのに、上司が解約を嫌がり『地主を説得して建てさせろ』などと言いだしてトラブルになるケースも珍しくありません。

 架空契約も、契約から半年ほどすると『保留』と呼ばれる塩漬け状態となり、解約しなければならなくなります。しかし解約すると業績が落ちるので、契約内容を変更して解約を先延ばしにすることがよくあります。そうやって無理をして業績を維持してきたものの、もはやどうやっても解約せざるを得ない事態がここ何年間で相当増えてきているのだと思います」(三宅氏)

 レオパレス事件では建物の欠陥に加えて、家賃の引き下げをめぐるトラブルが頻発したが、大東建託でも同様の事案はないのだろうか。

「家賃に関しては30~35年間の一括借り上げで、『10年間家賃は変わりませんよ』『空き部屋があっても保証しますよ』『銀行のローンも安心ですよ』というのが大東建託の売り文句です。でも、10年過ぎればほぼ例外なく家賃は下がります。事業試算書というシミュレーションを書いてオーナーに説明するんですが、『家賃がここから下がりますよ』ということは言わない。『返済が終わったら家賃が全額収入になりますよ、だから大丈夫ですよ』と言うので、みんな契約するわけです。

 しかし事業試算書の下には、小さく『家賃をはじめとする各種収益・費用等の金額は、現在の賃料相場、税制に基づき試算したものであり、その金額を継続保証するものではありません』と書いてある。10年過ぎて突然家賃を下げられたときに、オーナーはやっとこの注意書きに気づくわけです。
 
 一括借り上げ契約は大東建託の子会社である大東建託パートナーズと締結しますが、契約書の中に、10年を過ぎると大家と大東建託パートナーズが協議の上で家賃の見直しができるという条項があります。協議が成立しない場合は大東建託側が一方的に管理契約を解約できるようになっていて、それが一番の問題です。

 建前上はオーナーと大東建託子会社が対等の立場で契約を結んでいます。しかし気に入らなければ一方的に破棄できるのですから、大東建託が圧倒的に有利な契約です。大東建託は大企業ですが、法律上はアパートの入居者と同じなんです。だから『家賃がこんなに高いなら出て行くよ』という話になるんです。大家はそれをされると困るので、言いなりになるしかない。だいたい10年過ぎるとトラブルが起きます」(三宅氏)

家主による訴訟も続出


 レオパレスで施工不良が問題になったが、大東建託の物件でも同様の事例はあるのだろうか。

「レオパレスで問題になったのは天井や屋根裏の界壁ですが、大東建託は屋根の施工に問題があるのか、雨漏りする物件がたくさんあった。屋根を葺く際に、鉄板を打つ釘が短かかったため強風時に屋根ごと飛んだこともあると聞いています。雨漏りなどのトラブルが起きると大東建託パートナーズに苦情が入り、同社の社員が対応します。経費を抑えるために社員自身が修理することが多いようです。その程度では直らないときは業者に依頼しますが、オーナーが費用を負担しなければなりません。

 修理費用をめぐってオーナーと会社の板挟みになった社員がうつ病になってしまい、会社の働かせ方に原因があるとして労災が認められたケースがあります。施工に問題があることはよく知られていますが、それでも東証一部上場企業でテレビCMを派手にやっているせいか、年配の方は営業社員の話をすぐに信用してしまうようです。
 
 サブリースという業態は、建築と融資、その後の管理の問題がセットですが、これを包括して監督する制度が事実上ありません。建築に関しては国土交通省の管轄ですが、借り上げに関しては監督官庁がない状態です。国が監督する制度をきちんとつくるべきです。新聞やテレビも警鐘を鳴らさないといけないのに、多額の広告費をもらう立場なので報じられない。NHKがサブリースの問題を以前やりましたが、そのときも社名は出ませんでしたからね。最近になって朝日新聞が少しやりましたが、それも一時的です。

 家主が大東建託を訴えている訴訟がいくつも起きていますが、家主側はなかなか苦戦しています。裁判所は、家主は消費者ではないと判断しがちだからです。コンビニエンスストア本部とフランチャイズ加盟店オーナーの関係に似ています。圧倒的にオーナーが弱い立場ですが、契約上は本部とオーナーは対等な関係なので、お互いが納得して契約しているものだと見られてしまうからです」(三宅氏)

 今回は消費者団体が動いているが、どのような場合に家主が消費者に当たるのかどうかは、今後慎重に検討されることになる。

「当機構では一定数の苦情・相談が確認できたので、裁判外の申し入れをして不返還条項の差止を求め、その点は改善されたということです。今は契約解除に伴う申込金や契約時金の返還について、新たな情報の提供を募っているところです。今後については、現時点で予断を持ってどうこうとは言えません。当機構が活用できる制度は、消費者と事業者間の契約にしか適用されませんので、情報提供の内容や数だけではなく、契約者の消費者性をどのように考えるかといった、検討すべき重要な事項があります。」(消費者機構日本)

銀行の責任


 大東建託でアパートを建てて、ローンを無事に完済して、悠々自適の生活をしているオーナーは果たしてどれくらいいるのだろうか。

「ふつう家主はローン完済前に亡くなり、子どもがアパート経営と借金を相続します。建物が古くなると修繕が必要になり、またお金がかかります。家賃を下げられて収入が減り、銀行融資の返済も苦しくなって、ついには返済不能になってしまった二代目のオーナーを何人も見てきました。成功した例がどれほどあるのかはわかりません。

 私は本当に悪いのは銀行だと思っています。銀行は低金利の中で貸出先がなく、そこで見つけたのがこのアパートローンだった。土地を持っていればほいほい金を貸して、大東建託はずいぶんと儲けたわけです。だけど、そのアパートが30年〜35年間ちゃんと家賃が入って借金を返済できる見通しをもって融資した例がどれほどあるのかというと、疑問です。いま、スルガ銀行の問題が起きてアパートローンの問題が表面化した。この期に及んで金融庁がようやく調べ始めて、銀行は融資に慎重になった。あまりにも遅すぎます。

 こうした動きに伴って、大東建託では契約したけど融資がつくメドのないものがどんどん解約されているということです。融資は後回しにして、ひたすら契約を取るよう社員を追い詰めて業績を伸ばしてきたのですが、もう限界です。解約が増えれば過去に積み上げた売上が減っていくわけで、それがもう始まっているということです。大東建託のアパート建築の売り上げ額は今後かなり落ちるのではないでしょうか」(三宅氏)

 大東建託の業績は一見すると絶好調だ。昨年は過去最高益を更新し、19年3月期決算見込みも増収増益を予想する。しかし、今年1月30日に行われた19年3月期第3四半期決算説明会で、同社の熊切直美社長の口からキャンセル率についてこんな説明があった。

「受注単価につきましては、前年対比で598万円増の1億546万円になりました。約6%増ということで、1億円の大台に乗りました。半面、融資の審査の厳格化を含め、キャンセル率が大幅に上昇しております。18年12月末現在のキャンセル率が22.2%で、(前年度対比で)3.9ポイント増加している状況でございます。これについては、今後の継続的な課題となります」

 直近3年のキャンセル率の推移は17.4%→18.3%→22.2%。熊切社長の退任もすでに決まっているが、新体制でもこれまで通りの数字を出せるのか。
(文=兜森衛)

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