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成馬零一「ドラマ探訪記」

連ドラ『チャンネルはそのまま!』が素晴らしい…テレビが持っていた“ワクワク感”を描写

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 同期のなかでも優秀な報道部の山根一(飯島寛騎・男劇団 青山表参道X)は、どうして雪丸が入社できたのか? と頭を抱えるが、逆にクールな新人アナウンサーの花枝まき(宮下かな子)は、雪丸の誤字脱字だらけのニュース原稿を読み上げたときに、雪丸には自分たちの潜在能力を引き出す力があるのではないか? と思う。

 やがて、話が進むにつれて山根たちは現実の壁にぶつかることになり、優等生的なまじめさだけでは対処できなくなるのだが、そこで雪丸が取った突飛な行動が突破口となるという展開こそが、本作の一番の見どころである。

 もちろん、ドラマなのである程度は誇張している部分はあると思うのだが、ミスを繰り返す雪丸を許容するホシテレビの姿勢を見ていると、今のテレビがコンプライアンスを重視するあまり失いつつある大らかさや自由さについて考えさせられる。

 取材相手を傷つけるような横柄さや偏向報道は論外だが(そのあたり、本作では大泉が演じるNPO法人代表とのやりとりにおいて深く切り込んでいる)、小さなミスがすぐにウェブニュースになるなか、失敗を恐れるあまり萎縮し、その結果として冒険できなくなっている今のテレビを見ていると、雪丸のような「バカ枠」の存在が必要なのではないかと思ってしまう。

 動画配信サービス「パラビ」で配信されていたドラマ『新しい王様』が、ゆがんだエリート意識による慢心によって娯楽の王道から失墜しつつあるテレビマンの姿を露悪的に描いていたのに対して、本作はローカル局の楽しい姿を描くことで、かつてテレビが持っていたおもしろいものを生み出そうとする精神を描いている。テレビが持っていたワクワクする雰囲気を、テレビドラマというかたちで見せているのだ。

 フィクションだからこそ描けるテレビの夢と理想が詰まった、良質なエンターテインメント作品である。
(文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家)

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