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ペットボトル茶大量消費の一方で、茶葉生産の現場が抱えるジレンマ

文=林夏子/ライター・静岡茶ティーレポーターお茶ジェンヌ
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 このお茶をペアリングした茶師の五代目本多茂兵衛氏は「炙り金目鯛の味を邪魔せず、食材が引き立つよう、栽培から焙煎、合組まで一切妥協せずにつくり上げた」と自信を見せる。

 1万円のお茶漬けを食べた方々からは「初めて食べる味!」「お茶漬けに烏龍茶!?」「おいしい!」と口々に驚きの声が上がり、静岡の最高級食材と静岡茶のマリアージュを楽しんだ。

 静岡茶を使ったオリジナル茶漬けを楽しむプロジェクト「茶米(ちゃごめ)」を企画したのは、静岡県中部地域で事業者と共同で観光客に静岡の魅力をPRする「するが企画観光局」。この1万円のお茶漬けも、毎年11月に開催される静岡市内最大のイベント「大道芸ワールドカップ in 静岡」に合わせて静岡市内の飲食店10店舗で提供されたオリジナル茶漬けのひとつだ。

最高級の静岡茶、生産の秘密

 1万円のお茶漬けに合わせたお茶を、筆者も実際にいただいてみた。芳醇な香り、口に含むと広がる甘い味わい、すっきりとした上品な後味。おいしい。

 このお茶は本多氏が営む富士山の茶園で栽培・製茶されたもので、日本茶の全国品評会のひとつ「日本茶アワード」で、15年度のほうじ茶部門で日本一に輝いた。お値段は100g5000円ほど。スーパーマーケットの店頭などで見かける100g数百円で販売されているお茶とはケタ違いの高級茶だ。このような品評会受賞茶は、一つひとつの工程にこだわって仕上げた日本茶文化の粋ともいえるもの。手間をかけた分、味わいも深い。

 本多氏は、するが企画観光局が企画する茶席・「碗 -ONE-」でお茶のペアリングを担当している。老舗料亭や一流ホテルでの懐石やフルコースの一品一品に、玉露や煎茶、紅茶、ほうじ茶とさまざまな香味の静岡茶を合わせる。ここで提供するのは、主に県内の銘茶コンテスト「ふじのくに山のお茶100選」【※4】に入選した最高級の静岡茶だ。

「たとえば、長野県内でリンゴを販売したり、新潟県内でコシヒカリを高く売ったりするのは難しい。静岡県におけるお茶も同様だ」(本多氏)

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