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ミネラルウォーター戦争勃発…王者・南アルプスの山梨県を脅かす北アルプスの長野県

文=小川裕夫/フリーランスライター
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コスト面・環境面で長野県は優位

 登山客・観光客に代わる新たな産業振興の手段として、大町市は北アルプスの湧水に着目。大町の湧水量は膨大であることから、山梨県のミネラルウォーターに勝てると踏み、ミネラルウォーター産業の育成に力を入れ始めた。

 隣県・山梨県のミネラルウォーターは地下から採水する。他方、大町のミネラルウォーターは湧水。湧水は地下から採掘する必要がないので、工費や搬出の費用も少ない。また、環境負荷も低い。コスト面・環境面で長野県は優位に立つ。

 業界は、山梨県を補完する存在として長野県、特に北アルプスに位置する市町村に熱い視線を送り始めた。

「これまで、長野県はオリンピックや新幹線の開業で求心力を増した長野市、大河ドラマ“真田丸”でフィーチャーされた上田市、別荘地の軽井沢町といった新幹線の沿線地域ばかりが目立っていました。北アルプスに位置する松本市や安曇野市、大町市はあまり光が当たってきませんでした。しかし、これからの長野県はこちらの地域が盛り上がってくると思います」(長野県内の自治体職員)

 また、長野県はブドウ・モモ・リンゴの一大産地でもあり、ミネラルウォータービジネスのほかにもワイン製造・ウイスキー製造で山梨県を脅かしつつある。

 山梨県は一大消費地の東京に近いというアドバンテージがあることから、山梨県の優位は続く。また、長年にわたってミネラルウォーター大国の座を維持してきただけあり、“南アルプス”はブランドとして絶大な力を持つ。山梨県が簡単に王座を明け渡す様子は見られないが、勢いは長野県の北アルプスが上回っている。

 ミネラルウォーター対決を制するのは、新星の長野県なのか。それとも王者・山梨県なのか。ミネラルウォーター業界の勢力図が、少しずつ変わろうとしている。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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