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スタバ開業にコンビニコーヒー…コーヒー消費量激増と「平成」、「レトロ」だけの店は潰れる

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

2019年の前半は海外出張を繰り返す

スタバ開業にコンビニコーヒー…コーヒー消費量激増と「平成」、「レトロ」だけの店は潰れるの画像4パナマ・ゲイシャ

「今年は2月から5月までの4カ月で約50日、年間では100日近くを海外で過ごす予定です。特に4月11日から14日まで、WBC(ワールドバリスタチャンピオンシップ)の世界大会が米国ボストンで行われるので、日本代表のコーチとして帯同します。終了後はブラジルに移動し、セミナーの講師を務める予定です」

 最近の予定を、阪本氏はこう話す。話を聞いたのは3月中旬の東京都内だが、本稿執筆時は南米のパナマに滞在中。海外出張の目的はさまざまだ。取引先の関係者と一緒に、厳選したコーヒー豆を生産する農園に行くこともあれば、バリスタと一緒に世界大会に臨むこともする。コーヒーコンサルタントの時と、バリスタトレーナーの時があるのだ。

 近年のコーヒー業界でもっとも注目され、世界中の品評会で大人気の「パナマ・ゲイシャ」(パナマ産のゲイシャ品種)という最高級コーヒー豆がある。この研究も阪本氏の活動の一端だ。今年から「ベスト・オブ・パナマ」(パナマのコーヒー品評会)の審査員(国際審査員)も務めるが、「ゲイシャ」の歴史や栽培手法を現地の農業機関や生産者に取材。2017年には専門誌「カフェレス」(旭屋出版)の特集記事にもなった。つまり、最前線のコーヒーの味だけでなく、その背景も探ってきたのだ。この探求心も「成績」に結びつく。

スタバ開業にコンビニコーヒー…コーヒー消費量激増と「平成」、「レトロ」だけの店は潰れるの画像5バリスタと阪本氏

 2018年のバリスタ国内選手権(JBC)では、決勝に残った6人のファイナリストのうち、優勝した山本知子氏(「ウニール」ヘッドバリスタ)をはじめとする4人は、阪本氏の指導を受けた。4月のボストン出張は、日本代表として出場する山本バリスタのコーチとしての活動だ。2014年に井崎英典バリスタ(当時は丸山珈琲)がWBCでアジア人初の世界王者に輝いたが、その優勝に導いたコーチが阪本氏(当時は同じ会社に所属)だった。

「人」と「味」の最高を引き出す

スタバ開業にコンビニコーヒー…コーヒー消費量激増と「平成」、「レトロ」だけの店は潰れるの画像6コーヒー畑

「バリスタトレーナー」という職種の歴史は、まだ十数年と浅い。コーヒー職人が「バリスタ」と呼ばれて国内外で技術を競うようになると、それを指導する人材も必要となり、生まれた。だが現在、この職種の人は一定数いるが、阪本氏に匹敵する存在はいない。

「ほとんどのバリスタトレーナーは企業に属しており、社内のバリスタ育成が主な仕事です。会社員ですから人事異動で別の部署に移ることもある。それに対して私は、競技会で勝たせるのが役割です。成績を出さないと、次のオファーはありません」

 ちなみに、契約はバリスタ「個人」とではなく、「会社対会社」として行う。トップレベルのバリスタのなかにも、阪本氏を評価する人は多い。そのひとり(30代)は、こう話す。

「社内にも私たちを指導するバリスタ監督がいますが、阪本さんはもっと実践的な指導をしてくれます。『競技会で使う予定のビバレッジ(飲料)には、この味を用いたらどうか』とか、『プレゼンテーションでは、この部分を強調しろ』といったことですね。教え方には、厳しさもあれば温かさもあります」

 現在も20代から40代までのバリスタが多数指導を仰ぐ。その功績が認められ、阪本は外食産業記者会が選ぶ「外食アワード2017」を中間流通・外食支援者部門で受賞した。

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