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代替わり行事、国費投入にキリスト教団体が抗議…一部団体「天皇制が性差別を作り出す」

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国によって宗教の意義はさまざま


 日本キリスト教会靖国神社問題特別委員会の声明は、安倍首相による天皇への内奏(2月21日)、皇太子への訪問(2月22日)を「象徴である天皇は政治に一切関わってはならないとする現憲法に対する重大な違反である」と批判している。内奏とは総理大臣をはじめとした国務大臣が、天皇に国政の報告を行うことである。

「内奏の内容によりますが、代替わりにあたっての儀式の概要、あるいは元号を決める手続きなどの説明が行われたと考えられます。その時に天皇、あるいは皇太子からなんらかの発言があり、それによって政府が動くということがあったならば憲法第4条1項にいう国政に関する権能を天皇、皇太子が行使したということになるので、そうなれば憲法違反ということになります。そういうことがなくて、ただ報告を受けているだけであれば、それはなんら問題はありません」

 日本バプテスト連盟性差別問題特別委員会の声明は、「天皇制が性差別、セクシャルマイノリティ差別あらゆる差別をつくり出しています。また天皇の皇位継承にも、男性天皇、男系天皇しか認めない性差別が顕著です」と批判している。

「憲法には皇位継承の原理までは書かれていませんが、皇室典範では伝統的に行ってきた男系継承を原理とするとされています。天皇は憲法の第1章で規定されている存在です。一方、憲法第14条で法の下の平等が謳われています。この2つの整合性を考えた場合、天皇の存在は第14条の例外だと考えられるわけです。皇位継承の原理についても、第14条の例外と理解すべきです。

 天皇制や天皇の存在自体が性差別の根拠だという意見は、憲法の第1章を否定して、天皇制自体を廃止するということでしか成り立ちません。現在の憲法は天皇の存在を大前提とし、国家の統治機構をそれで構築しているわけですから、そうした主張は、今の憲法のもとでは成り立たないということになるかと思います」

 日本聖公会主教会正義と平和委員会の声明は、「『大嘗祭』を公的な行事と位置付けることにより、天皇が特別な存在であること、さらに神格化のイメージを植え付けることを危惧いたします。かつて、天皇を中心とした国家神道のもとで、植民地支配と侵略戦争をした反省の上に作られた憲法を守ることは、わたしたちの責任だといえます」と批判している。

「まさに過去の歴史の反省から作られた今の憲法のもとでは、国家神道になっていくということはあり得ないわけです。今回の代替わりは、今の憲法の下で2回目で、昭和から平成の代替わりをそのまま踏襲します。彼らがいう理屈であれば、平成への代替わり以降、天皇が神格化されて国家神道的な道を日本が進んでいなければおかしいわけですけど、現実にはそうなってないわけでしょう」

 アメリカでは、これまで例外もあったが、大統領の就任の宣誓は聖書に左手を置いて行われるのが慣例だ。トランプ大統領は就任演説で、聖書からの一節を用いた。議員の就任や公務員の就任の際も聖書が用いられる。法廷での宣誓でも、同様に聖書を用いることが慣例となっている。

「国の成り立ちとか国柄によって、そこにおける宗教の意義というのが、どの国にもあるわけです。アメリカは政教分離の国、国教の樹立を禁止した国ですが、キリスト教やユダヤ教など、そういう特別な宗教と国、政治との関係というのがあるわけです。日本の場合は伝統的に皇室は神道との関係があるということです。

 今回声明を出している聖公会は、そもそもイギリスのキリスト教です。イギリスは立憲君主制であって、その王位継承にあたっては、聖公会の宗教色で行うわけです。その時にイギリスにいる神道の団体が抗議するかといったら、しないわけですよ。それぞれの国の成り立ちと宗教の関係があるからです。

 今回声明を出した団体は日本にあるキリスト教団体の一部であって、キリスト教を代表しての意見ではないと思います。キリスト教も多様で、日本の伝統に寛容な人たちも多くいるわけです」

日本キリスト教会靖国神社問題特別委員会の回答


 果たして即位礼、大嘗祭などに国費を用いることは憲法違反なのか否か。見解を問うたところ、日本キリスト教会靖国神社問題特別委員会・古賀清敬委員長から回答が寄せられた。

「私どもの声明をお読みくださり、ご質問をいただきありがとうございます。政教分離の問題は、それぞれの国や地域の歴史的経緯によって多様なあり方を示しており、平面的に比較して済まされない未解決の課題であると認識しております。日本においてはかつての戦争への反省を踏まえてより厳格に憲法で規定されており、それを緩和することは国家など公的権力の宗教への関与・介入を増大させ、信教の自由への侵害を引き起こします。事柄は宗教と文化の関係一般ではなく、政治的権力が特定の宗教を優遇であれ抑圧・禁止であれ特別扱いしてはならない、というのが政教分離原則の趣旨であると理解します。

 ちなみに、聖書に手をおいての宣誓はキリスト教の正規の儀式ではなく歴史的に創作されたものであり、英国教会のあり方をめぐっての論争や対立の中から、信教の自由こそが人権の中心であり、政教分離の重要性の認識が明確にされてきた歴史があります。また、ユダヤ教徒やエホバの証人等、キリスト教以外の宗教を信じる人々には、それぞれの正典を用いること、さらに信仰上の立場から宣誓誓約そのものを拒否するメノナイト教徒等には、宣誓誓約なしにその証言を『宣誓供述』に等しい法的拘束力を持つものとして扱う等、信仰の自由に対しては最大限の尊重が図られるのが世界的な流れとなっていることを申し添えます。

 代替わりの儀式は、宗教色が強いという言い方では不十分で、皇室神道儀式そのものであり、これへの国費支出と宗教系教育機関への補助金と同一に論じることはできません。教育機関への支出は、公の支配に属するかどうか、即ち学校教育法その他の法的基準を満たしているかどうかの厳しい審査と監査を経て行われているものだからです。

 現天皇の在位期間で神格化のイメージが植え付けられたかどうかは何を基準として判断するかによる議論になりますが、国家神道の中核である皇室神道が温存されていること、それが公的意味を有すると当然視してきた歴代政府の態度は、いまだ国家神道体制のもとで遂行された戦争と人権侵害への反省が不十分であり続けていると憂えております。

『内奏』や『訪問』の内容を探索できる権限も方法も持ち合わせていませんので、その内容を把握してはおりません。ここで問題にしていることは、代替わりに関することであれ、何であれ宮内庁を介して執行できるはずのことを、なぜ首相自身が行うのか、また『内奏』というのは大日本帝国憲法下での『上奏』と一対で用いられた極めて政治的な用語をなぜあえて使うのかということです。『内奏』それ自体が主権在民の憲法原理に反し、それをことさらに誇示する安倍首相の政治姿勢が問題であると抗議したものです。

 以上、多岐にわたるご質問ですので逐一詳細な回答にはなっていませんが、今後の議論のご参考にしていただければ幸いに存じます」

 掲載を前提とした回答ではなかったが、日本聖公会からも返信をいただいたことを申し添えておきたい。
(文=深笛義也/ライター)

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