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伊達軍曹「『今月の販売台数No.1』に見るニッポンの今」

ホンダN-BOXが日産ノートの1.6倍売れている理由…安価な車ばかり売れる“光と影”

文=伊達軍曹/自動車ジャーナリスト
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 だがそれは富裕層限定の購買行動だ。

 昨今は、非富裕層である者がわざわざ富裕層に憧れて「大借金をしてでも」という勢いで、それらを買い求めるケースは少ない。

「そんなことをしてまで見栄を張りたいとは思わないし、そもそも安くていいモノが今はたくさんある」というのが、筆者を含む昨今の一般大衆メンタリティであるはずだ。つまり、我々消費者は「成熟」したのだ。

 このことついても、筆者は基本的には誇らしく思っている。

 お金をたくさん持っている人々が何を買おうとご自由だが。むしろ、どんどん高いモノを買って経済を回してくださいと思っている。そうではない者が、持てる者の表層だけを模倣するなど愚の骨頂であり、いかにも後進国的である。

 そういった後進性がほぼ確認できなくなったことについては、いち国民として喜ばしく思っているのだ。

 しかし、この「多くの者が安くていいモノしか買わないということ」が、この先も続くだろうと想像すると、気分はやや重くなる。

「身の丈消費」ばかりがメインストリームとなると、我が国の経済は、いや世界の経済は今後どうなってしまうのだろうか……と思うからである。

 それが証拠に――というわけではないが、ホンダは「増収減益」が続いている。ワールドワイドの販売台数は増加しているものの、「営業利益率」は減少の一途をたどっているのだ。その理由は「利益率が低い安価な車(N-BOXや、登録小型車であるトヨタ自動車の「フィット」など)しか売れないから営業利益率が低い」という、単純すぎる図式だけではない。

 しかし「安い車ばかりが売れて、高い車がぜんぜん売れない」ということが、営業利益減少の理由の「一端」であることは間違いないのだ。

 ホンダは、そして日本は、今後どうなってしまうのだろうか。快適そうにぶろろろ~んと都内を走り回るホンダN-BOXを眺めながら、筆者は今日も軽く途方に暮れている。
(文=伊達軍曹/自動車ジャーナリスト)

伊達軍曹
1967年東京都生まれ。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。『IMPORTカーセンサー』(リクルート)編集デスクなどを歴任後、フリーランスの自動車ジャーナリストに。自動車雑誌やウェブサイトに多数寄稿している。

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