沖有人「不動産の“常識”を疑え」

社長の家が「田園調布・成城の一戸建て」から「赤坂・西新宿のタワマン」に移った合理的理由


 とはいえ、それをあざ笑うかのような大災害のしっぺ返しが最近は絶えない。東日本大震災後の千葉・新浦安の資産価値の変化は甚大であった。この意味でこれからも想定以上の災害リスクがないとは言えないので、一概に職住近接で済ますことができないのは肝に銘じる必要がある。

職住近接で計2000万円の削減効果に?

 日本人は、度重なる大災害を忘れて災害リスクがある場所に移り住んでいるわけではないだろう。それよりも重要に思えていることがあるからだ。それは「タイム・イズ・マネー」という言葉に表れているように思われる。単身世帯が増えると、これは強調されやすくなる。実際、職住近接によって人生の満足度が変わるという調査結果もあるくらいだ。

 確かに、都心のオフィスに毎日1時間以上かけて通うのは年間200日でも往復400時間に及ぶ。労働の時間単価を掛け合わせると、年間100万円程度になる。通勤時間を半減させることができた場合の価値を50万円とすると、月4万円の賃料負担と同等になる。そのくらい職住近接のニーズはあり、40年働くと想定すると2000万円の削減効果に相当する。

 地ぐらいに代わる基準はアクセスの良さで、その副作用は災害への弱さだ。災害リスクは湾岸のほうが高く、その利回りの高さに表れている。アクセスがいいから家賃は払うけど、持ち家を持つにはリスクが高くて高い価格では買えないという心の叫びの証拠なのだろう。アクセスの良さと災害リスクの少なさを両立する立地は、これから再評価されるのである。
(文=沖有人/スタイルアクト(株)代表取締役、不動産コンサルタント)

●「住まいサーフィン

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