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競馬・馬券、内田裕也さんは3連単の上位人気120通りをすべて買い込んでいた!

文=後藤豊/競馬ライター
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 迎えた最終レースのマイルCS。内田さんは、とてつもない決め打ちに出た。 3連単のオッズを見ると、1番人気が80倍から始まっている。本命サイドでも十分に高配当が期待できると踏んだ内田さんは、3連単の上位人気120通りをすべて買い込んだのだ。総額12万円。ちなみに、前の2レースでこの日のギャラはすべて消えており、最後は自腹購入だ。

 あわてたのは、餃子を食べてきた編集者だ。彼は内田さんが言う馬券をマークカードに書き、馬券を買いにウインズ銀座と喫茶店を往復していたのだが、3連単上位人気120通りとなれば、一点ずつ120通りを書き込まねばならない。「間違ったら大変なことになる」と、汗を流して必死にオッズ表と格闘している。そんな姿を目にした内田さんがこう言った。

「間違えてもそれはそれだ。気にするな。間違ったって、それが当たることもあるかもしれねぇだろ。まぁ、こんな買い方は邪道でな、この前は124番人気がきちゃったよ。ハズレたら『120通り買って当たらなかったロックンローラー』って書いていいぞ」

 断っておくと、内田さんは決して予想を放棄したのではない。このレースには外国馬が2頭出走しており、かなりの本気モードだった。「2頭のうちの1頭であるサプレザが馬券になりそう」という見解を示しており、実際にサプレザは3着に入っている。

 どうせ負けるなら派手に負けてやる。そんな内田さんの思いが伝わってきた。

「悔しいけどな。いいんだよ。ストレス発散だしな。ただ、悔しさはすぐに忘れたほうがいい。それが『格好良く負ける』ってことだ」

 結局、内田さんはギャラの2倍を超える金額を費やし、すべて失った。実に多くのミュージシャンに慕われてきた理由が、競馬を通じて少しだけ理解できた気がした。

 内田さんと決して別れなかった樹木希林さんの「だって、お父さんにはひとかけら純なものがあるから」というセリフを耳にしたとき、私はこの日の内田さんを思い出した。合掌。
(文=後藤豊/競馬ライター)

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