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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

新幹線、なぜ途中で運営元JR会社が変わっても運賃は通算?あえて会社が損する不思議

文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト
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 乗車開始後の乗車券とは、堅苦しく言うと旅客が鉄道会社との運送契約に基づいて旅行を開始した証書となる。したがって、譲渡や質入れ、裏書きなどを認めると乗車券にでも記されていない限り、運送契約を取り交わした相手を変える行為は禁止されると解釈すべきだ。

 本来は一般に見られる定期乗車券であるとか航空券などのように、乗車券も記名式とすべきかもしれない。とはいえ、これではさすがに駅での業務が煩雑になりすぎるので、特に記載のない限りは署名があるのと同じと見なしているのだ。ファミリーレストランなどのドリンクバーを複数で利用する際は、特記のない限り人数分の料金を支払わなければならない――といえば、たとえになるであろうか。

 鉄道を利用するときに支払う運賃や料金に関して定められた制度類は、一つひとつがなんらかの根拠があって設定されたものだ。大多数は適正であると筆者は考えるが、JR旅客会社の旅客営業規則には今の時代に即していないとか、妥当性がなくて廃止したほうがよいと感じられる内容もいくつか存在する。今回は2つ紹介したい。

運賃や料金の通算の問題

 一つは運賃や料金の通算だ。東京駅から博多駅までを「のぞみ」で行こうとすると、乗車券と特急券とが必要となる。普通車の指定席を大人1人で利用した場合、運賃は1万3820円、通常期の指定席特急料金は9130円の計2万2950円だ。

 ご存じのように、東京-博多間は東海道新幹線と山陽新幹線とを乗り継いでの移動となる。そして、東海道新幹線を保有し、営業を行っているのはJR東海、山陽新幹線を保有し、営業を行っているのはJR西日本と実は異なるのだ。JR旅客会社の一員であることから、JR東海、JR西日本の両者はほぼ同じ会社のように見られるが、まったくの別会社だ。お互いの株式を保有しているなどということもなく、単に列車が乗り入れているだけの関係にすぎない。

 にもかかわらず、いま挙げた運賃や料金は両社の境界となる新大阪駅で打ち切って計算されず、そのまま通算される。仮に新大阪駅で運賃と料金とを打ち切った場合、東京-博多間を「のぞみ」の普通車指定席を通常期に利用すると、運賃は1万8360円、指定席特急券は1万1400円の計2万9760円だ。現行よりも6810円高くなる。

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