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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

新幹線、なぜ途中で運営元JR会社が変わっても運賃は通算?あえて会社が損する不思議

文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト
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 JR東海やJR西日本が東海道・山陽新幹線の運賃・料金を通算させる制度を採用している理由の一つは、航空との競争のためだ。しかし、さらに大きな理由が存在する。法規によって運賃・料金を両社の境界で打ち切ることは望ましくないと定められているのだ。

「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」という国土交通省の告示の「1 鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項」のイに「当該旅客が乗車する全区間の距離を基礎として運賃及び料金を計算すること」とあり、この条文が根拠となっている。

 かつて、JR東海もJR西日本も日本国有鉄道(国鉄)という一つの組織であった。国の都合によって分割民営化されたのであるから、国民の不都合が生じないようにと運賃や料金は国鉄時代のまま通算されるように決めたのだ。

 興味深いことにJR旅客会社が発足後に開業した路線では、料金を通算せずに打ち切って計算するケースが見られる。JR九州の九州新幹線と東海道・山陽新幹線とを、そしてJR北海道の北海道新幹線とJR東日本の東北新幹線とをそれぞれ直通した場合、多少は割引となる区間もあるが、基本的には特急料金は会社ごとに計算する決まりだ。

 利用者にとって利益となる規則なので言いづらいが、筆者は先に挙げた告示にある運賃や料金の通算は廃止すべきだと考える。九州新幹線や北海道新幹線を直通したときに特急料金を新たに計算し直しているのは、JR九州やJR北海道の経営に支障が生じるからにほかならない。なるほどJR東日本、JR東海、JR西日本の3社は儲かっているかもしれないけれど、利益の還元は別のかたちで行うほうが望ましいと筆者は考える。この点については後ほど詳しく述べたい。

 ともあれ、東京-博多間の運賃や料金は新大阪駅で打ち切ることとし、それでは航空との競争上よくないとJR東海、JR西日本が判断したのであれば適宜運賃や料金を値引けばよいのだ。告示には「当分の間」とある。国鉄の分割民営化は1987年4月1日のことで、すでに32年が経過しようとしているから、検討してもよいのではないだろうか。
(文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)

※後編に続く

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