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フジ月9『ラジエーションハウス』に視聴者の評価真っ二つ…大コケor大ヒットか予測不能

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 窪田正孝が主演を務める連続テレビドラマ『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)の第1話が8日に放送され、平均視聴率は12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。このドラマは、レントゲンやCTで病変を写し出す放射線技師・五十嵐唯織(窪田)が、病の写真家として目には見えない患者の病気を見つけ出し、命を救っていく医療ドラマだ。

 フジテレビはドラマ公式サイトで、この作品を「“平成の『月9』ドラマ”の大トリ」であると宣伝している。だからなんなんだとも思うが、そのせいかかなりこの作品には力が入っているようだ。

 そのひとつがキャスティング。窪田がイケメンであるかどうかは評価の分かれるところではあるが、一定の女性人気を博していることは確かだ。さらに、今作のプロデューサーは『週刊女性PRIME』掲載の記事で「原作者は作画のときに、窪田さんのお芝居から表情を参考にしたそうです」という裏話を明かしている。つまり、原作のイメージにもぴったりな配役ということになる。

 ヒロインである放射線科医役に本田翼を起用する一方、同僚役に広瀬アリスを配し、実質的なダブルヒロインとした。五十嵐の上司役には、バイプレーヤーとして引っ張りだこの遠藤憲一を配して安定感を出すとともに、仕事ができるサバサバ系の先輩役には抜群の演技力で再注目されている山口紗弥加を起用。五十嵐の後ろ盾となる院長には和久井映見、院長の座を狙うイヤミな診療部長にはベテランの浅野和之をそれぞれ起用するなど、脇役が半端なく豪華だ。それぞれの登場人物にスポットを当てたスピンオフを作ってもおかしくないくらいの贅沢な布陣で、「こんなに登場人物がいて描き切れるのだろうか」と逆に心配になるくらいだ。キャスティングについては、次回以降のレビューでもう少し掘り下げたいと思う。

 一方、主人公が放射線技師であるという設定には、当初首を傾げた人も少なくなかったのではないだろうか。技師は医師ではないし、放射線科は病気を治す部門ではないからだ。文字通り裏方であり、そんな人物を主人公にしてストーリーが成立するのだろうか、と不安に感じるのももっともだ。

 だが、刑事ドラマに置き換えればそんなに突拍子もない設定ではないとわかる。それこそ、前クール(2019年1月期)の月9ドラマ『トレース~科捜研の男~』や、そのネタ元である『科捜研の女』(テレビ朝日系)を思い出せばよい。科捜研の技術者(法医研究員)は警察官ではないから、捜査権を持っていない。刑事が持ち込んだ遺物を鑑定するのが仕事であり、まさに裏方そのものだ。

 もちろんそんな現実をそのまま描いてもドラマにはならない。だから、ドラマでは裏方である法医研究員の真野礼二(錦戸亮)や榊マリコ(沢口靖子)がどんどん出しゃばっていき、時には刑事を助け、時には刑事を差し置いて事件を解決してしまうのだ。現実にはあり得ないが、ドラマだからこそ成立するストーリーであり、「本来は目立たない立場の人が活躍する」というプロットが一種のカタルシスとなって視聴者の支持を集める。

 であれば、裏方である技師が本来の領分を踏み越え、医師を差し置いて病気を診断する、というストーリーだって十分成立するはずだ。刑事ドラマと医療ドラマの違いこそあれ、プロット自体は十分確立されたものだからだ。実際にネット上では、「外科医のように陽は当たらないが、重要な役割である放射線技師を題材にしている点は興味深い」との思いから視聴しているという声も少なからずある。

 そして、第1話を見る限り、この狙いはある程度当たったといえよう。正直言って、映っていない画像を復元する方法を湿布のフィルムから思い付いたという展開や、その理屈はさっぱりわからなかったし、画面に数字を羅列するマトリックスのような演出もダサすぎた。先輩技師たちがなんの前触れもなく急に結束して五十嵐に協力する展開も意味がわからなかった。ただ、医療ドラマとしては、それなりにまとまっていた。

 何もしなかった医師が最後に手柄だけをさらっていき、技師はやっぱり裏方のまま、という結末も悪くない。主人公がスーパーヒーローになってしまうよりは、よっぽど余韻があっていいと思う。やり尽くされた外科医ではなく、裏方の放射線技師を主役に据えて医療の現場を描くという試みは、大当たりこそしないかもしれないが、大きく外すこともなさそうな気がする。

 視聴者の反応は、「面白かった」「今後も見る」と評価する声がある一方、「さあ、感動してください!という押し付けがましい感じがして気持ち悪い」「窪田のアップがキツイ」「セリフやナレーションがだらだら長くてテンポが悪い」など批判的な声も多く、評価は両極端に割れている様子だ。次回以降の展開が興味深い。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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