渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

韓国大統領、米韓首脳会談“2分で終了”の屈辱的冷遇…北朝鮮への制裁緩和要求で決裂か


 いずれにせよ、文大統領は自ら支援した臨時政府100周年記念式典への参加を見送り、専用機で約14時間かけてワシントンに出向いたわりには、なんの成果もなく帰国することになった。屈辱的な冷遇といえる。

 実は、あまり報じられていないが、アメリカ側は露骨ともいえる慇懃無礼な対応を行った。27分間の記者会見であるが、決して重要な事柄だけを述べていたわけではない。報道陣からの質問に答えるかたちでゴルフのマスターズ・トーナメントの優勝者を予想し、トランプ大統領はタイガー・ウッズなど有力選手について饒舌に答えていたのだ。

 筆者は、この質問をアメリカ政権側と記者の出来レースであると見ている。米朝会談失敗後、韓国はアメリカに対して首脳会談の開催を繰り返し懇願した。これに対して、アメリカは文大統領が式典出席のために断るであろうと思われる「臨時政府100周年記念式典の当日」をあえて設定した可能性が高い。しかし、文大統領はそれでも訪米を希望した。これでアメリカ側としても断れなくなってしまったのだろう。また、ゴルフ好きで知られるトランプ大統領は暗に「韓国よりもマスターズに関心がある」と示したのだと思われる。

 韓国は米朝双方から圧力をかけられ板挟み状態であることに加え、日本との関係も冷え込んでいる。昨年来、徴用工や従軍慰安婦の問題が蒸し返され、韓国側に対日関係を改善する意思が見えないことから、安倍晋三首相は6月の20カ国・地域(G20)首脳会合の際に文大統領との個別会談を見送る方向で検討しているという。

 経済が低迷していることに加え、南北融和も雲行きが怪しくなってきたことから、文大統領の支持率は就任後最低の41%(韓国ギャラップ調べ)を記録している。それだけに、今回の米韓首脳会談で巻き返しを図りたいところだったが、空振りに終わり、文大統領は窮地に追い込まれている。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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