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安倍政権が推進する外国人実習生増加、失踪実習生の7割が最低賃金以下…過重労働も蔓延

文=編集部
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実習実施先の費用負担の問題

 では、技能実習生に対する法令違反の背景はなんだろうか。実習実施先に中小企業が多いことからコンプライアンス遵守体制の未整備が推察される。あるいはブラック労働現場に共通して見いだせる人権意識の欠如も散見される。

 こうした問題は実習実施先に起因するが、法務省入国管理局が独立して新設される出入国在留管理庁による摘発や排除だけでは、おそらく解消に向かわない。法令違反の背景は実習実施先の問題だけではない。

 もうひとつの背景として、実習実施先の費用負担が挙げられる。実習実施先が海外現地法人の従業員を技能実習生で受け入れる企業単独型には、この問題は発生しないが、受け入れの大半は団体監理型である。事業協同組合や業界団体など非営利団体が監理団体として登録し、技能実習生の手配と実習実施先での就労チェックを実施している。この団体監理型の費用負担が法令違反を誘発している可能性も考えられるのだ。

 ある監理団体が見積もった実習生1名当たりの費用は、次のような内容である(給与は除く)。

 実習開始前までに発生する費用が監理団体加入費、入国前教育費、面接時渡航費、入国後研修費、国際研修協力機構年会費、保険料など約50万円。実習1年目は入国渡航費、交通費、健康診断費、技能検定料など約10万円。ここまでは準備費用だが、以後、毎月、管理費として4万8000円が発生する。これは監理団体の職員が月1回程度ペースで定期的に職場を訪問して、出退勤記録のチェックや指導担当者・実習生と面談を行って状況を把握する経費である。

 この見積内容について、他の監理団体関係者は「この数字は相場である。多くの監理団体は、大体この程度の金額を実習実施先に請求しているだろう」と語る。

 一方、実習実施先には毎月の管理費が負担になっている。管理費の相場は1人につき月4~5万円で、10人を受け入れば月40~50万円に膨らんでしまう。この費用負担が低賃金過重労働を誘発している要因になっているのではないか。ある業界団体関係者はこう推察する。

「就労先の経営者や管理職によって考え方に差はあるだろうが、実習期間中は毎月4~5万円を監理団体に払い続けなければならないので、なんとかして元を取らなければならないと考えるようになる。それが低賃金で長時間労働をさせるという流れを生み出していると思う。低賃金で過重労働をさせざるを得ないという事情があることは否定できない」

 管理費はどのぐらいが妥当なのか。この関係者の答えは「1~2万円」だった。

BusinessJournal編集部

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