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杉江弘「機長の目」

ボーイング最新航空機で墜落多発、ANAが導入決定…パイロットの操作性を無視した設計

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 この時点でもパイロットが先に述べた正しい回復操作を実行すれば間に合うことが多く、実際に免許を取得するための訓練でもそれを実行し、それでも速度計のトラブル等によってパイロットが適切な回復操作を行わずに失速に入り墜落する事故が続いてきたため、各メーカーはさまざまな工夫を加えることになる。

 まずエアバスは失速状態に入ることを未然に防ぐアルファフロアというシステムを導入し、失速に入らないように事前にエンジンの出力が全開に入るようにした。これは失速防止のための自動化システムである。

 一方、ボーイングでは777のようなハイテク機になって新たに導入したのが、仮にパイロットが誤って操縦桿を引き上げ続けてもエレベーター(昇降舵)の操舵力が重くなるようにして、あるピッチからはそれ以上機首上げができないようにした方法である。

 これはコンピューターを使ったシステムであるが、それでもなお力いっぱいエレベーターを引き上げることは可能で、その意味では自動化システムとはいえないものである。2009年に導入されたブラジル製のエンブラエル機にも同じシステムが採用されている。

 筆者は導入当初から3年間乗務し、訓練中にそれを体験したが、並の腕力であるためあるピッチ以上引き上げることができず、失速防止に十分な効果があることを理解できた。失速対策はここまでの対応で十分である。

 ちなみにエンブラエル機は日本ではブラジル製ととらえられがちだが、その実態は「ドイツ製」と考えたほうがいい。戦後ドイツからブラジルに渡ったハインケル社の技術者たちが実質的に設計にかかわったもので、その意味で日本製のMRJにとってライバル以上の存在といってよいだろう。

失速回復操作に自動化を導入したボーイング


 ボーイングはこれまで述べたような失速防止のための装置から一歩進めて、失速に入ったらパイロットの操作を待たずして自動的に機首を下げるという新たな自動化システムをボーイング737MAXから導入したのである。

 それはエアバスがすでに導入していた自動化に対抗するかたちになったが、その違いは、エアバスのアルファフロアが失速に入らないように事前に迎角が15度に達するとエンジンが推力を増加させるという仕組みであるのに対し、今般ボーイングが導入したシステムは、機が失速に入ったらそれを自動的に回復させようとするもので考え方が異なっている。

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