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藤和彦「日本と世界の先を読む」

原油価格高騰で金融危機再来の兆候…震源地はサウジか、米国金融当局の動きに注視

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 サウジアラビア政府は原子炉建設について平和目的を繰り返し強調しているが、原子炉の建設に加え、燃料となる濃縮ウランを国内で製造する許可を求めていることも疑念を生じさせる要因となっている。昨年3月、米テレビのインタビューで「イランが核兵器を開発すれば、サウジアラビアもただちにあとを追う」と発言したムハンマド皇太子は、「イランに負けじ」と原子力開発に邁進することは間違いない。

長期金利5%もあり得る

 包括的保障措置協定を締結せずにサウジアラビアが原子炉を稼働させれば、NPT体制にとって大打撃となるだけではなく、サウジアラビア(原油輸出量は日量700万バレル)が国際社会から孤立する懸念が高まる。「イランの7倍の輸出量を誇るサウジアラビア産原油が調達できなくなる」との思惑から原油価格は100ドルを超えることが予想される。

 米国の長期金利は現在2.5%程度だが、原油価格が100ドル前後だった2007年の例にならえば、長期金利は5%に跳ね上がってもなんらおかしくない。

 長期金利が高騰して真っ先に困るのは、ゾンビ企業(過去3年間、利払いを利益で賄えない状態に陥っている企業)である。国際決済銀行(BIS)の昨年9月のレポートによれば、データが入手可能な14カ国の上場企業の12%が今やゾンビ企業となっているが、ゾンビ企業を支えているのは「イージーマネー」の存在である。その端的な例が、格付けは低いが高利回りの「ジャンク債」や「レバレッジド・ローン」である。

 ジャンク債の規模は欧米全体で4兆ドルとなり、過去10年間で4倍となった。レバレッジド・ローンの規模も米国だけで1兆ドルを上回り、過去6年間で2倍となっている。ジャンク債やレバレッジド・ローンの市場の暴落を恐れて、米国の金融当局は利上げの停止やバランスシート縮小の早期終了など政策転換を図りつつあるが、原油価格が高騰すれば再び金融引き締めを余儀なくされ、イージーマネーを絶たれたゾンビ企業の大量倒産が起こることは想像にかたくない。

 昨年12月28日付けコラムで「原油安が金融危機の引き金となる」と書いたが、極端な原油高も金融危機の引き金になってしまうのではないだろうか。
(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

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