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『ストロベリーナイト』評判最悪で人気シリーズに泥塗る…単なる生意気な女刑事の話

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 二階堂ふみとKAT-TUN・亀梨和也がダブル主演を務める連続テレビドラマ『ストロベリーナイト・サーガ(ストサガ)』(フジテレビ系)の第3話が25日に放送され、平均視聴率は前回から0.2ポイント増の6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 このドラマは、『姫川玲子シリーズ』と呼ばれる誉田哲也著の小説を映像化したもの。同シリーズは2010年と12年に『ストロベリーナイト』(竹内結子主演)としてドラマ化されており、今回の『ストサガ』では、竹内版で描かれたエピソードがいくつか描かれることになっている。

 第3話は、男性の左手首だけが発見された“遺体なき殺人事件”の真相を解き明かす「ソウルケイジ」というエピソードの後編。竹内版ではラスト3話(第9~11話)で描かれたが、今回は前後編の2話にまとめられた。

 事件の真相そのものは前編のかなり早い時点でバレバレになっており、結末を見て誰もが「そうだよね」と思ったはず。竹内結子主演で一度映像化されたから、ではない。前作を見ていない人や原作未読者にも、あからさまにわかるようなかたちでネタバレされていたのだ。

 かいつまんで言うと、このエピソードは「殺されたとされる男性が実は死んでいなかった」というトリックが肝になっているのだが、二階堂演じる姫川警部補は前編でそれとは知らずにその男性に会っていた。男性の顔こそ映らなかったが台詞はあったため、視聴者からは「声ですぐに生きているとわかった」との声が上がった。

 最初に真相を描き、刑事などの探偵役がいかにその真相に迫るかの過程を描く「倒叙ミステリー」ならよかったのだが、『ストサガ』はそうではない。それなのに前編の時点で盛大にネタバレしてしまったのだから、これは脚本と演出が間違っていたとしか言いようがない。

 視聴者の声で目立ったのは「グロい」という感想。「今期見ているドラマのなかで、ずば抜けてグロい」「毎週恐怖で身体が痛い」「ストロベリーナイトサーガは、見るたびに体調不良になる」「気持ち悪いシーンがリアルに重くてすごい胃にくる」といった声がネット上に見られた。実際にグロテスクな映像が多かったかといえばそうでもないのだが、「痛み」を感じさせる映像があり、不快感を覚えた人が多かったようだ。筆者も、あまり趣味が良いとは思わなかった。

 このエピソードのテーマは事件解決にあるのではなく、事件を通して「父性」を描くことにあるのだ、との声もある。確かに、原作はそうなのだろうと思う。工務店を経営する高岡賢一(寺脇康文)が偽装工作を行って自分が死んだように見せかけたのは、父性から出た行動であった。姫川と対立する存在として急に登場した日下刑事(神保悟志)や、これまた3話目にして急に登場した姫川の父親も、それぞれの立場での「父性」のあり方を表現する存在として物語のなかに配置されたに違いない。

 ただ、前作では3話かけて描いたエピソードを2話に縮めた弊害なのか、いかんせん人物像の掘り下げや心情の描写が少ない。そのため自分の片手を切り落としてまで愛する者を守ろうとした高岡にもイマイチ同情できず、「結局、それって意味あったの?」と冷めた気持ちになってしまった。

 人物像の堀り下げが甘いことについては視聴者からも不満の声が上がっており、特に主人公である姫川の背景がきちんと描かれていない点について「そこが描かれていなければ単なる生意気な女刑事の話にしかならない」「姫川が闇を抱えていないから全体的に浅く感じる」といった声が聞かれる。ただ、姫川の過去については今後のエピソードであらためて描かれるのではないかとの予想もある。いまのところ二階堂の演技は軽く、重い過去を背負った人物を演じているようには見えない。今後の展開とどのように整合性が取れるのか、注目したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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