さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

今、高所得者の間で密かに流行っている「節税」方法


 それがなぜ節税になるのかというと、まず中古の建物を購入し、それを減価償却します。減価償却は、その建物ごとに定められた“耐用年数”というもので、数年から数十年かけて償却しますが、中古の場合は購入時点の経過年数を考慮して、耐用年数を割引きます。つまり、短い期間で減価償却できるのです。

 たとえば、10億円の物件を10年で減価償却するとします。1年で1億円なので、不動産収入を大きく上回るかもしれません。もし、不動産収入より大きければ、不動産所得の赤字を日本でもらっている給与収入から差し引くことができます。

 すると、所得税が還付になります。これは、よくある方法です。副業で不動産賃貸業をやっている人のなかには、所得税の還付を受けている人がいるでしょう。それが正しい方法かどうかは言及しませんが、今回の高所得者が行っている不動産賃貸はもっと高度です。

 不動産所得が赤字ということは、事業としてうまくいっていないことを意味します。所得税の還付を受けても、利益が出ないかもしれません。そこで、購入した物件は5年後に売却します。このときの不動産の売却益は譲渡所得になります。

 譲渡所得には、長期譲渡所得と短期譲渡所得があって、5年たってから売却すると長期譲渡所得に該当し、税率が下がります。最近は、日本の不動産でも購入の数年後に購入価格より高く売れることも多いと聞きます。アメリカではそれが顕著なようで、古い物件の価値が高く、ほとんどの場合、購入価格より高く売れるのだそうです。

 年収8000万円のお金持ちは、不動産所得、減価償却、譲渡所得、アメリカの不動産事情を総合的に勘案して、その節税策を用いています。きっと、それらの情報と知識を、対価を払って得ているのでしょう。情報や知識の価値を知っていると、大きな収入を得て、さらに所得も圧縮できるようです。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。著書に『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『お金持ちがしない42のこと』(Kindle版)がある。
さんきゅう倉田公式ホームページ

Twitter:@thankyoukurata

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