中西貴之「化学に恋するアピシウス」

お米、歯周病予防作用が判明…炭水化物摂取、抜きでも過食でも寿命短縮

「PIXTA」より

 文部科学省の「食品成分データベース」によると、ごはんの食品成分の37%が炭水化物で、残りのほとんどは水です。炭水化物ダイエットが盛んな昨今では、避けられがちな食品であることが残念です。

 炭水化物は、私たちが健康に生きる上で欠くことができない食品成分です。米国のブリガム・アンド・ウイメンズ病院による新しい研究では、炭水化物の適度な摂取が長寿につながるデータが示されています。この研究は、2万人弱の米国人について、1980年代末から最近まで25年間の追跡調査を行い、炭水化物の摂取量と死亡率の関係を調べたものです。

 報告では、炭水化物摂取量と死亡率の間には明確なU字型の関連が見られます。このなかで、食物として摂取する全エネルギー量に占める炭水化物の割合が50~55%だった場合にU字型の底、つまりもっとも死亡リスクが低いことがわかり、これはおおまかに一食あたり茶碗に軽く一杯のごはん量です。

 また、同じ研究者らによる、日本人も含めたさらに大規模な43万人に対する解析では、炭水化物の摂取比率が40%未満、あるいは70%以上で死亡リスクが上昇し、寿命が短縮することが明らかになっています。つまり、極端な米食なし生活は、かえって健康を害するのです。

 多くの場合、炭水化物制限をしている人は動物性たんぱく質を摂取してエネルギーを補充していますが、今回の調査対象においては、肉や乳製品など動物性たんぱく質の摂取量を増やすと、健康になるどころか逆に心血管疾患など循環器系の疾患を発症して早期死亡リスクを高めることも、あわせてわかりました。

 米食を肉に置き換える糖質制限食は、最近も著者自身が病院で推奨された経験がありますが、いまだに人気が高いようです。食品についてはいろいろなものをバランスよく摂取することが重要で、ごはんも適度に摂取する食生活にあらためたほうがよさそうです。もちろん、大盛り無料のお店では必ず大盛り、おかわり自由のお店では必ずおかわりをしていたのでは健康を害してしまいますので、何事も中庸が重要です。

コメが歯周病の予防に効く可能性

 コメについては、新潟大学が昨年末に興味深い発表をしています。コメの成分に歯周病予防作用があることが動物実験で確認された、というのです。

 歯周病は虫歯と共に歯科の二大疾患で、歯肉と歯周組織から発生し、それらの生理機能を失わせます。直接的な原因は歯垢中の歯周病原性微生物で、間接的にはホルモン失調やビタミン欠乏もかかわっていることがわかっています。

 歯周病は歯肉炎と歯周炎に分けられ、いずれも炎症性の病気です。炎症性変化が歯肉と歯の付着部を破壊し、歯磨きでは対処できない深い歯肉ポケット(歯と歯茎の間の空洞)を形成し、そのなかで病原菌が大量増殖して病状の悪化が進行、やがて歯にダメージを与えます。

 現在の歯科技術では、ある程度悪化すると完全に治癒させることは非常に困難で、最終的には歯がグラグラし始め、脱落します。歯を失うことは不健康や短命に直結することはもちろん、食の愉しみを奪うことによって患者の生活の質を低下させ、それがさらに不健康につながります。多くの場合、成人を迎えた頃から発症し、日本の中高年の多くが罹患している国民病です。

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