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ゼンリンにはトヨタ自動車が7.46%を出資(18年9月中間期時点)。自己株口(自社株)を除けば、トヨタが創業家の資産管理会社サンワ(保有比率9.20%)に次ぐ第2位の株主だ。デジタル地図で、ゼンリンはトヨタと行動と共にしている。トヨタが出資するDMPに参加。グーグルとの距離が明らかになると、すかさずトヨタも加わるOSM陣営のマップボックスに地図データの提供を決めた。
世界のグーグルマップに対峙できるのは、日本ではゼンリン1社しかない。国内の地図ではゼンリンと昭文社が大手だったが、ここにきて大きく差が開いてしまった。書店で売られている地図「マップル」で有名な昭文社は、デジタル化に遅れたことが響いた。19年3月期の連結最終損益は6億3500万円の赤字で3期連続の赤字となる。重荷となっていた人件費の削減のため3月末で96名の希望退職を実施した。
住宅地図からスタートしたゼンリンは、中興の祖である創業家の2代目、大迫忍氏がいち早くデジタル化に取り組んだことで、企業向けデジタル地図が開花した。ゼンリンの19年3月期の連結決算は売上高が前期比4.3%増の640億円、営業利益は6.6%増の58億円、純利益は10.9%増の37億円と増収増益を見込む。カーナビ用地図の新車採用が増えたこと、不動産業や宅配業者のデジタル地図利用が伸びたことによる。
19年3月期決算ではグーグル問題の影響はほとんどないとみられるが、20年3月期の第1四半期(4~6月)の業績では、脱グーグルの成否がはっきりしてくる。
なお、ゼンリンは3月21日以降のグーグルとの契約については「グーグルとの取り決めがあって開示できない」としている。
(文=編集部)