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山崎俊輔「発想の逆転でお金に強くなる『お金のトリセツ』」

老後に死ぬまで好きな趣味を、思う存分楽しむための“お金の貯め方”

文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

 よく「老後に3000万円必要」といいますが、これは生活費のちょっとした不足の穴埋め、長寿リスクや病気、ケガに備える予算も含まれています。つまり、オタクはもっと上積みが必要ともいえます。

 さすがに全額を揃えられなくても、貯蓄をがんばった人ほど老後のたっぷりある時間は、バラ色の楽しい時間と化すことは間違いありません。

 何せ仕事には行かなくていいですから、やりたいゲームを好きなだけログインしていいですし、徹夜して海外のゲーマーと遊んでも誰も文句をいいません。むしろゲームは知覚を鈍らせないものとして推奨される世の中になっているかもしれません。

 クリアし損ねていた往年の名作ゲームをのんびりやるもよし、新作ゲームを若い世代と共に競い合う手もあるでしょう。アニメもためまくっているウォッチリストを片っ端から片付けても、時間はあり余っています。

 むしろ最後の課題は「予算があるか」です。お金がほとんど必要にならないのは、地元の郷土史家くらいです。地域の古老の話を聞いたり、図書館に通って郷土史を読むだけですむので、郷土史家はローコストの老後の趣味になりますが、みんなが郷土史家になるはずはありません。

 やっぱり趣味を楽しむというのは、お金が必要です。あなたが旅を楽しむ人であったり、お布施をどんどん入れることに幸せを感じているなら軍資金がなければ、その趣味は維持できません。そして軍資金がないことは「オタクとしての死」になってしまうわけです。

 ここまで力説していることは、みなさんが「死ぬまで趣味を楽しむ」「生涯オタク」であるために欠かせないことなのです。

たとえば、このペースでオタク軍資金を1450万円確保してみよう

 あなたがもし、本気で老後に備えてもいいと考えるなら、毎月2.3万円を節約してiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入するといいでしょう。

 35歳で加入し65歳まで積み立てると(現状では積立は60歳までですが、法律改正が近く予定されているのであえて65歳まで積立できるものとして試算します)、30年の積立期間が得られます。

 iDeCoは働き方によって積み立て額の上限が異なりますが、企業年金のない会社員であったとして、月2.3万円の上限をフル活用したとすれば、30年後の元本は822万円です(口座管理手数料として月167円を控除)。

 ちなみにiDeCoの掛金には所得税・住民税がかかっていないので、普通の手取りの感覚的には1万8400円を積み立てたのに、本来引かれるはずの3600円が上乗せされて2万3000円になっている、という感じです(実効税率が掛金の20%相当だった場合)。制度に加入して積立をするだけで、月4600円の30年分、人生を通じて165.6万円も税金を納めないですみ(合法的に!)、それを自分の老後のオタク資金とできるわけですから、これは相当お得な貯め方です。

 さらに、年3.5%で運用(実績)とすると、30年後の受け取り額は1450万円まで増えます。本来なら運用益には約20%の税金がかかり、3.5%の運用成績も手元に残るのは2.8%の利回りになってしまいます。しかしiDeCoは運用益が非課税なので、さらに有利にお金を増やせるわけです。

 会社の退職金にiDeCoを追加すれば老後のオタク軍資金もそれなりに確保できるでしょう。つみたてNISA(年40万円)も使えるとなお効果的です。

 iDeCoの解説本はたくさんありますが「あなたのオタクの老後のためにこれを使え」とはどこにも書かれていません。しかし老後になんの目的で使おうと自由です。

「生涯一オタ」として死ぬまで趣味を楽しむために、「今月のオタク出費」を少しセーブし、備えてみてはどうでしょうか。

 これも立派なマネープランなのです。
(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)

山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。個人の資産運用や老後資産形成のアドバイスが得意分野。日経新聞電子版やYahoo!ニュースなど多数連載を持つ。月間PVは200万以上。
フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
financialwisdom

Twitter:@yam_syun

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