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『パーフェクトワールド』低視聴率でもネット上で感動の渦「今クール一番」「泣いてしまう」

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 松坂桃李が主演を務める連続テレビドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)の第3話が7日に放送され、平均視聴率は前回より0.2ポイント増の6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 このドラマは、大学時代の事故で下半身が不随になった建築士の鮎川樹(松坂)と、高校時代の同級生・川奈つぐみ(山本美月)が繰り広げるラブストーリー。第2話のラストで2人は正式に交際をスタートし、第3話からは恋人としての2人を描くストーリー展開となった。

 ところが、当然のことながら2人の交際は前途多難。連続ドラマなのだからそうでなければ話が持たないのだが、それにしても2人の周囲は敵ばかり。つぐみの父親・元久(松重豊)は、障害者と付き合うなんてとんでもないと大激怒。母の咲子(堀内敬子)は怒りこそしないが、下半身不随の樹に子どもがつくれるのか、と現実的な心配をしてくる。

 つぐみに密かに思いを寄せていた是枝洋貴(瀬戸康史)は表面的にはつぐみを祝福するが、内心では樹に敵意を燃やす。それでもなんとか大人の振る舞いを続けようとしたが、結局最後には「つぐみを悲しませたらただじゃおかない。俺はつぐみが好きだ」と樹に“宣戦布告”。さらには樹のマンションの前で無理やりつぐみを抱きしめ、「なんでいつもあいつ(樹)のことばかりなんだよ。つぐみ」と強引に思いを伝えた。

 この場面、本当なら是枝ひとりが悪者になるべきシーンだと思うのだが、なぜかつぐみもされるがまま。弱々しく「放して」とつぶやいたが、顔はまんざらでもなさそうだし、本気でいやがっているようにも見えない。ハッとした是枝が手を放して「ごめん」と告げた時も、「ううん、大丈夫」とでも言うように首を横に振るだけだった。

 偏見を持たずまっすぐな態度で樹に接し、障害であることも受け入れて彼を愛するピュアな女性のようにこれまで描かれてきただけに、なんだか一気に幻滅した気分。山本美月は2018年4月期の『モンテ・クリスト伯 華麗なる復讐』(同)で、いつも困ったような顔で2人の男性の間を揺れ動く女性を演じていたが、ワンパターンの棒演技であまり評判が良くなかった。今作においては「あれよりは良くなっている」との声も少なくないようだが、結局また似たような役柄を演じるのだろうか。

 登場した時から不穏な香りをまき散らしている樹のヘルパー、長沢葵(中村ゆり)も相変わらず不気味だ。「あなたが(樹の)何を知っているって言うの? 簡単に知ってるなんて言わないでほしい」とつぐみに食ってかかったり、「あなた、覚悟はできてる?」と詰め寄ったり、いちいち怖い。かと思えば、ひとりになった時に大きくため息をついて「嫁いびりみたい」と後悔している様子もあるし、情緒がよくわからない。

 ただ、事故後の樹と看護師時代の長沢との出会いが描かれた回想シーンによれば、長沢は明らかに樹のことが好きだったらしい。こともあろうに、ベッドの上で眠る樹にこっそりキスをするシーンまであった。看護師が患者を好きになるのは自由だが、同意も得ずに勝手にキスするのはアウトである。しかも、職務中となればなおさらだ。とすれば、長沢は倫理観に欠けたところがある人物ということになる。看護師をやめてヘルパーになり、樹の世話を続けているのも、堂々とストーカーをしているだけとの見方もできる。主だった登場人物のなかで一番ヤバそうだ。

 長沢を演じる中村ゆりはバイプレイヤーとして多くの作品に出演しているが、決して知名度は高くない。だが、どの作品に出演しても、その目を引く美貌と抜群の演技力で注目を浴び、インターネット上で「あの女優さん誰?」と話題になっているのをよく見かける。今作でも思い切り怪演を見せて樹とつぐみの関係をかき回してほしいと思う。

 このドラマに対するネット上の反応は、「今クールのドラマで一番内容もキャストも良いと思う」「登場人物それぞれの感情が交錯するのが痛いほど伝わってきて切ない」「実際に自分が障害を持ったらどうするのかなど、深く考えさせられる」「樹とつぐみの相手を思いやる気持ちに泣いてしまう」など、評価する声が多い。

「樹が障害者であるゆえに直面する問題」と「誰もが恋愛で直面する問題」の両方をバランスよく描くことができれば、視聴率は低くても示唆に富んだ作品として一定の評価を得られるはず。今後の展開を注視したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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