菊地さんとチーム羽生の距離

　羽生が一流選手へ飛躍した陰に菊地さんの存在があったことは確かだろう。もしその功労者をチーム羽生が追い出したとなれば穏やかな話ではないが、スポーツ記者は語る。

「今季に入り菊地さんの姿がみえなくなったというのは、フィギュア関係者や日頃から取材しているマスコミ関係者の間では気づかれていました。実際に菊地さんが追放されたのかどうかは、わかりませんが、羽生は今季もこれまでと同様に試合で菊地さんがつくったペンダントを着けていたので、少なくとも羽生自身が菊地さんに良くない感情を抱いたということはないでしょう。

　ただ、今や羽生の周囲には、ブライアン・オーサーをはじめとするコーチ陣や羽生の両親などで形成される、いわゆるチーム羽生に加え、現在羽生が所属するANAの指導陣、スケート連盟の人間など、多くの関係者がいる。そんななかで、フィギュア経験者でもない菊地さんがあれこれ羽生に指示をすることについて、さまざまな意見が出ていたという話は聞いたことがあります。また、整体師の菊地さんが大会のときも常に羽生のそばに寄り添っているという光景に違和感がないかといわれれば、否定はできないでしょう。そうした空気を暗に感じた菊地さんが、自発的にチームを離れたというのが本当のところではないでしょうか」

　羽生は菊地さんと心ではつながったまま、次のステージへステップアップしていったのかもしれない。
（文＝編集部）