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筆者のように交通系ICカードをよく使用している人間からすると、交通系ICカードの中心軸となっている「Suica」(JR東日本)が、率先して加盟店手数料を引き下げ、かつ端末のシステムを簡素化し、多くの小規模事業者にばらまけば、一気に普及すると考えている。
一方で、現金払いへの需要は根強い。現金は匿名で使用できる。キャッシュレス決済とは違い、使用者の情報と紐づけされてはいない。個人情報というものがさまざまなところに集まる電子化の時代に、現金は最後の匿名行動の聖域となっている。
現金は誰が触ったかもわからず、現金を触ったあとは手をよく洗うように、と言われた人も多いだろう。どんなルートを通ってきたかさえわからない、硬貨に至っては昭和の時代から使われ続けているものがあるのにもかかわらず、信用され普通に使われている。
そのあたりを考慮すると、現金がいまだに一般に使用されているのは、意外性さえ感じる。「現金がなぜ信用されるのか」ということを考察でき、その問題を解決できれば、キャッシュレス社会は一気に実現するだろう。
しかし最近、新紙幣がつくられるとの発表もあり、そのなかで1万円札もモデルチェンジするということも決まっている。高額紙幣の廃止が世界的に進むなか、1万円札も残し、新紙幣までつくって現金の体制を守ろうとしている。キャッシュレスの時代に逆行している印象さえある。
電子化が進むなかで、高度な印刷技術を使ってでも紙幣を残そうとする財務省・日銀と、キャッシュレス社会を進めようとする経済産業省。現金の信用性の問題の上に、省庁間のせめぎあいもからんでいる。
(文=小林拓矢/フリーライター)
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