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小澤貴子「化粧品のウソとホント」

足裏用の角質ケアパック、火傷で重症の被害相次ぐ…国が注意喚起、酸が高濃度で危険

文=小澤貴子/東京美容科学研究所

 そもそも酸を角質ケアピーリングに使うことは医療行為に当たり、医師の診察のもと、医療機関でなければ行うことはできません。つまり、それだけ危険が伴う行為だということです。特に、足裏の皮膚には向かない方法なのです。足裏には皮脂腺がなく皮膚としてのバリア機能は強くないために弱い皮膚であること、また全身のなかでも角層の厚みが大きく、皮脂がないためにひび割れやカサツキが大きい部分です。かかとを酸で剥そうと思うと、かなりの厚さの角層を剥さないと、つるんとした皮膚は出てきません。

 一方で、皮脂がなくひび割れやカサツキにより、硬く厚い角層の部分の間を埋めるように、まだ垢になるには時間が必要な弱くもろい部分が存在しています。また、土踏まずや足指の間など、皮膚が薄く柔らかい部分もあります。

 こうした足裏に酸が配合されたパックを密着してしまうと、そぎ落としたい固い角層部分だけではなく、やわらかい部分や、ひび割れした間に存在する薄くて弱い皮膚も、同じように酸に浸ることになります。加えて、かかとは皮膚の刺激を感じにくい部分で、皮膚は高温を感じやすくても、低温や酸アルカリの化学的な火傷に対して鈍感で、火傷していることに気が付きにくいのです。

 商品の多くは、使用時間は1~2時間程度だと明記されていたようですが、効果が足りないと思い長く使用した人や、使用途中で寝てしまった人もいるでしょう。強酸の代表である塩酸などのように、即座に皮膚が焼けただれたりはしないため、気が付きにくい面があるという点も、よく知ってほしいと思います。

フルーツ酸だから安心?

 ケミカルピーリング用商品に使われる酸には、グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸など何種類もありますが、どの酸も一般的なもので、それ自体がとても危険なものではありません。問題は、濃度です。化粧水で使用するのは多くても数%程度で、ピーリングを謳うものでなければまったく問題ありません。ですが、角質ケアパックに使用されていた商品のなかには20%程度の酸が使用されていたものもあったと報告されています。酸はpHといわれる性質や濃度により、作用が大きく変化しますが、分厚いかかとをつるんとさせるためには、酸もある程度の強さが必要になります。

小澤貴子/東京美容科学研究所

小澤貴子/東京美容科学研究所

工学博士(応用化学専攻)
1975年生まれ。上智大学理工学部化学科卒業後、応用化学修士課程に進学。修士課程修了後、大手化学会社の研究員を経て、上智大学理工学部化学科非常勤助手として研究に携わる。
その後、祖父の代から続く、東京美容科学研究所に入所、肌と美容の研究の道へ。現在、同研究所にて、化粧品の研究とともに、正しい美容科学の普及に努めている。理美容のプロおよび一般の人々に対して、肌の生理や化粧品についての知識の向上を目指すべく、教育普及活動にとくに力を入れ、全国で講習会や講演を行っている。

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