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小澤貴子「化粧品のウソとホント」

足裏用の角質ケアパック、火傷で重症の被害相次ぐ…国が注意喚起、酸が高濃度で危険

文=小澤貴子/東京美容科学研究所

 もちろん、こうした商品は化粧品の効果効能を逸脱したもので、違法な処方です。前述したとおり、法律的には化粧品ではなく医療行為に入る濃度になりますが、一般のエステサロンでも違法に使用されてしまっている可能性もあるのが実情です。

 なかには、これら酸を「フルーツが原材料のフルーツ酸使用」などと謳う商品もあるようですが、皮膚は胃腸ではありませんから、食べてよいものと皮膚に良いものは違います。まして、たとえフルーツが原材料であったとしても、酸を高濃度で使用すれば、当然化学火傷につながります。ちなみに、平成28年7月1日に、厚生労働省によってグリコール酸(3.6%以下含有のものを除く)は劇物指定されています。

酸だから危険?

 酸だから危険なのかと考え、自分が使っている化粧品を取り出し、同じ成分が入っているものを捨ててしまう人もいるかもしれませんが、慌てないでください。こうした酸の成分は、適切な配合量、配合のもとに使用すれば、より良い、丈夫な肌に導いてくれるものだからです。たとえば今回説明できなかった化粧水。安全な洗顔術として石けんを使う人も多いと思いますが、石けん洗顔でアルカリ性に傾いた洗顔後の肌を中和し弱酸性にするために酸性の化粧水は必需品でしょう。

 垢となって剥がれ落ちる準備をしているのが、皮膚の表面にある「角層」という部分ですが、年齢を重ねたり新陳代謝が衰えると垢となって落ちにくくなります。角質細胞の列が20~数十層くらい並んだ角層のごくごく表面だけを落とすのが、泥パックや顔そりという手法による、プロの技術なのです。

 酸を使えば、ドラッグストアで売れるような手軽な商品になりますが、美肌にはそんな方法は適さないのです。美肌を手に入れるために必要なのは地道な方法ですが、順次ご紹介していきたいと思います。
(文=小澤貴子/東京美容科学研究所)

小澤貴子/東京美容科学研究所

小澤貴子/東京美容科学研究所

工学博士(応用化学専攻)
1975年生まれ。上智大学理工学部化学科卒業後、応用化学修士課程に進学。修士課程修了後、大手化学会社の研究員を経て、上智大学理工学部化学科非常勤助手として研究に携わる。
その後、祖父の代から続く、東京美容科学研究所に入所、肌と美容の研究の道へ。現在、同研究所にて、化粧品の研究とともに、正しい美容科学の普及に努めている。理美容のプロおよび一般の人々に対して、肌の生理や化粧品についての知識の向上を目指すべく、教育普及活動にとくに力を入れ、全国で講習会や講演を行っている。

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