ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
もともと人気や知名度の面でも、松坂ありきの作品であることも含めて、「頼りすぎではないか」と言いたくなってしまうのだ。
近年、攻めに攻めていたカンテレ
同作を制作するカンテレは、近年攻めの姿勢を見せ続けて、ドラマフリークたちをうならせてきた。
17年は、圧巻のアクションと不穏な結末でザワつかせた『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』、高校生の犯罪と逃走劇を描いた『僕たちがやりました』、スクールカウンセラーが生徒の死を追う長編ミステリー『明日の約束』。
18年は、内片輝監督をチーフ演出に迎え、映像にこだわった『シグナル 長期未解決事件捜査班』、繊細な描写が求められる生活保護をテーマにした『健康で文化的な最低限度の生活』、わかりづらい大切なものをあえて描くヒューマン作『僕らは奇跡でできている』。
安易な1話完結の刑事、医師、弁護士ドラマに走ることはなく、他局はもちろん系列局であるフジテレビのドラマとも差別化されていたし、熱狂的なファンを生む作品も少なくなかった。
しかし、視聴率が取れなかったことで、今年に入って攻めの姿勢が失われている。前期の『後妻業』は16年8月に映画化された作品であり、木村佳乃演じるヒロインの悪女ぶりは抑えめで、むしろポップな印象さえあった。
そして、今期の『パーフェクトワールド』は前述したように原作漫画ありきで、映画も公開されたばかり。松坂の力に頼る作品でもあり、「カンテレらしくない」と感じてしまう。カンテレなら「松坂と山本のコンビで、オリジナルのラブストーリーがつくれたはず」「サプライズや新星のキャスティングでワクワクさせてほしかった」と感じてしまうのは、期待感が大きいからにほかならない。
(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)
●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。
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