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ちなみに、「中国は最後の手段として保有する米国債を売ればいい」などという主張も見かけるが、それは現実的ではない。まず、中国の外貨準備には国有銀行保有分も含まれている。中国の国有銀行の対外債務は1.6兆ドル(3カ月以内の短期1.1兆ドル)で、米国債は1.1兆ドルとなっている。つまり、ドルだけで見れば債務超過の状態であり、米国債を売れば国有銀行が破綻するという構図になっているからだ。
また、米国はその気になれば米国債の売買そのものを無効化することもできる。米国は国際緊急経済権限法(IEEPA)や米国自由法により、米国の安全保障に重要な影響を与えると判断される経済活動を制限することができ、その対象となる資産を凍結することなどもできるためだ。さらに、現在の米国債は債券の現物がなく、米財務省に登録されている電子データにすぎないため、中国が不穏な動きを見せれば、米国側はボタンひとつで無効化することも可能である。
これらの事情に鑑みても、やはり中国のほうが分が悪いといわざるを得ないが、果たして対立の着地点は見つかるのだろうか。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
『2019年 アメリカはどこまで中国を崩壊させるか:そして日本が歩む繁栄の道』 中間選挙でアメリカ議会は上院と下院で「ねじれ」状態になった。トランプ政権は民主党と共闘しやすい中国攻撃を加速させていく! 一方の中国は2019年に建国70年記念を迎えるため、メンツとして決して譲歩できない状態だ。2019年は欧州で英国のEU離脱、欧州議会選挙、日本では天皇陛下のご譲位、消費税増税など、国際的に大きなイベントが目白押し。加えて徴用工問題で韓国は墓穴を掘り、朝鮮半島情勢も混沌としていく! 米中は、世界は、アジアはどう変わっていくのか。日本の行方は? 気鋭のエコノミストが分析する!

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