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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国経済、自業自得で窒息寸前…米国、中国からの全輸出品に制裁関税を検討

文=渡邉哲也/経済評論家

 ちなみに、「中国は最後の手段として保有する米国債を売ればいい」などという主張も見かけるが、それは現実的ではない。まず、中国の外貨準備には国有銀行保有分も含まれている。中国の国有銀行の対外債務は1.6兆ドル(3カ月以内の短期1.1兆ドル)で、米国債は1.1兆ドルとなっている。つまり、ドルだけで見れば債務超過の状態であり、米国債を売れば国有銀行が破綻するという構図になっているからだ。

 また、米国はその気になれば米国債の売買そのものを無効化することもできる。米国は国際緊急経済権限法(IEEPA)や米国自由法により、米国の安全保障に重要な影響を与えると判断される経済活動を制限することができ、その対象となる資産を凍結することなどもできるためだ。さらに、現在の米国債は債券の現物がなく、米財務省に登録されている電子データにすぎないため、中国が不穏な動きを見せれば、米国側はボタンひとつで無効化することも可能である。

 これらの事情に鑑みても、やはり中国のほうが分が悪いといわざるを得ないが、果たして対立の着地点は見つかるのだろうか。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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