清畠駅から2駅先の大狩部駅。波打ち際にコンクリート製のシェルターのような待合室があるひなびた無人駅だ。ホームから投げ釣りができそうなほど海が近い。待合室の中には代行バスの時刻表や運賃表が貼られ、ブロックに打ち付けられた板には「私は○○君が好きです。いけないことでしょうか?本当に好きなんだから!」との告白文が残されている。こんな無人駅にも青春のドラマがあったのだ。

 海沿いの線路は土砂が流出して大きく歪み、宙ぶらりんになった2年前のまま。あまりにも痛々しい。この線路に列車が再び走ることは、恐らく、もうないだろう。

 被災した鉄路は放置されたままだが、高規格幹線道路の日高道は18年4月、日高門別(ひだかもんべつ)IC-日高厚賀(ひだかあつが)IC間が新たに開業。国が所管する道路整備だけは着々と進んでいるのだ。

札幌市内では新たな液状化被害

 18年9月に発生した最大震度7の北海道胆振(いぶり)東部地震では、災害関連死を含めて42人が亡くなった。厚真(あつま)町、安平(あびら)町、むかわ町では、多くの人たちが仮設住宅での生活を余儀なくされている。連休中に整体マッサージのボランティアに参加した東京の30代男性は「仮設住宅暮らしの高齢者が喜んでくれた」と話す。胆振地方中東部では今年2月に最大震度6弱、5月4日にも最大震度2の地震が発生している。

 胆振東部地震の際、札幌市内では液状化の被害が出た。地震から8カ月たった今も、市内では液状化による被害が新たに見つかるケースが相次いでいる。市内で液状化被害が集中的に発生したのは6カ所で、このうち最大規模の被害が起きた清田区里塚では市が宅地の地盤改良工事に着手する予定だというが、そのほかは手つかず。住民らは宅地の復旧などを市や造成業者に求めているという。

 北海道では国際的なスポーツイベントや国際会議、博物館建設など華やかなムードが演出されているが、生活不安、生活の不便さが解消されていない実態も厳然としてある。若者流出による高齢化、過疎化も至るところで見られる。駅前や国道沿いの閉鎖されたままの店舗、崩れ落ちそうなサイロ。公共インフラの老朽化が進み財政難に悩む自治体も少なくない。Wi-Fiが通じないなど、情報インフラの整備が遅れている地域も散見される。その一方で外国資本による土地・建物の買収や転売が続く。

 4月の知事選で全国最年少(38歳)の新知事が誕生したばかりだが、インバウンド誘致だけでは問題解決にほど遠い。新知事の手腕が問われる。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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