NEW
成馬零一「ドラマ探訪記」

『東京独身男子』好感続出の秘密は“80年代トレンディドラマ”の再現

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 土曜夜11時15分から放送されている『東京独身男子』(テレビ朝日系)は、独身を謳歌していた3人の男性が結婚を意識して悪戦苦闘する姿を描いた恋愛ドラマだ。

 主人公は、メガバンクでシニアアナリストとして働く石橋太郎(高橋一生)、歯科医院長の三好玲也(斎藤工)、弁護士事務所のボスとして働く岩倉和彦(滝藤賢一)の3人。

 年収もルックスも好条件でありながら結婚せずに優雅な独身生活を送っていた3人は、玲也の妹・三好かずな(仲里依紗)から「AK(あえて結婚しない)男子」と呼ばれていたが、石橋は3年前に別れた恋人の竹嶋舞衣(高橋メアリージュン)と再会して恋心に火がつき、三好は離婚をきっかけにEDになってしまう。そして、岩倉は父親の介護をしてもらおうと交際中の恋人に告白するが、本心を見透かされてフラレてしまう。

 やがて物語は、石橋とかずなと舞衣との三角関係に発展。ほかの2人も美女たちと優雅な恋愛模様を繰り広げていく。

 劇中では毎回、石橋が「アジェンダ」と称して恋愛で分析したことをノートパソコンに書き込む場面があり、恋愛マニュアル的なつくりにもなっている。今どきこんなのありか? という華やかで軽いトーンの作品だが、どこかなつかしいのは、本作がトレンディドラマの作法でつくられているからだろう。

 トレンディドラマとは、1980年代後半に放送されたおしゃれな恋愛ドラマのことだ。代表作は『男女7人夏物語』(TBS系)、『抱きしめたい!』(フジテレビ系)。80年代に日本が豊かな消費社会となり、86年の男女雇用機会均等法の施行により女性が社会に進出したからこそ、トレンディドラマは歓迎された。

 その意味で恋に仕事にがんばる女性たちの応援歌という側面が大きく、だからこそ、F1層と呼ばれる当時20~34歳だった女性から絶大な支持を得たのだが、今見ると80年代の風俗を過剰に取り込んでいるため、SFを見ているような気持ちになる。

 主人公の年齢や職業を考えると絶対に住めないような高級マンションで暮らしているリアリティのなさも笑ってしまうのだが、そもそもトレンディドラマはファッション雑誌のようなもので、当時の視聴者は「こんな生活をしてみたい」と憧れる一方で、自分たちの日常とは別物と切り離して気軽に楽しんでいた。

 やがて91年にバブルが崩壊すると、野島伸司脚本の暗いドラマが席巻。恋愛ドラマも、おしゃれなグループ交際からどれだけ一途にひとりの人を思えるかを競うという純愛志向へと変わっていき、軽薄なトレンディドラマは80年代の徒花として散ってしまう。

 しかし、この『東京独身男子』は80年代とは違うかたちでトレンディドラマを復活させようとしている。そのこと自体に驚きを隠せない。

 本作がうまくいっているのは、30~40代の裕福な独身男性を主人公にしたからだろう。これが女性が主人公だと、2017年の『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)のような暗い作品になってしまい、トレンディな感じが出せない。それくらい、80年代と現在では女性を取り巻く社会環境が違うのだ。

 もちろん『東京独身男子』にも、親の介護や子どもがほしいといった将来に対する不安も見え隠れするのだが、基本的には男たち3人の優雅な独身ライフを笑いながら楽しめるものとなっている。これは、高橋一生、斎藤工、滝藤賢一という実力派のアラフォー俳優を揃えられたことも大きい。

『東京独身男子』好感続出の秘密は“80年代トレンディドラマ”の再現のページです。ビジネスジャーナルは、連載、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

Ranking

関連記事