しかし、インターネット社会となった今、著作権への意識は高まっている。ツイッターでもインスタグラムでも、個人が発信したものにはもれなく著作権が発生するので他人事ではなくなったのだ。

「アメリカの法律では、著作権に対して『フェアユース』という考え方があります。著作権者の許諾がなくても、公正な範囲なら自由に作品を使えるという制度です。近年では、デジタルやパロディの方面でこのフェアユースを認める判決がかなり増えています。著作権が身近になったことで、『権利を守りすぎるのは時に不自由で不公正だ』という考えが広く認識されるようになったわけです」(同)

 米国議会がこれ以上の延長を行わない、つまり23年でオリジナルのミッキーの著作権が切れる可能性があるのには、こうした事情もあったのだ。

著作権切れで逆にディズニーの売り上げが増加?

 では、ミッキーの著作権が切れたらディズニーは大きなダメージを被ることになるのだろうか。

「23年にオリジナルのミッキーの著作権が切れたら、おそらくアメリカではミッキーを利用した商品や、新たなデザイン・コミック・映像などの二次的著作物が大量に生まれ、販売されるでしょう。だからといってディズニーの売り上げが大きく下がるとは限らず、場合によってはむしろ上がる可能性すらあると見ています。二次的著作物が増えることで、逆に本家ミッキーの人気や価値が高まることもあるからです。とにかく、ミッキーの著作権が切れることをきっかけに、キャラクターの世界ではこれまで誰も体験したことのない、壮大な実験が始まろうとしているのです」(同)

 23年にミッキーの著作権が切れたとき、何が起きるか、あるいは何も起きないのか……。天国のウォルト・ディズニーも楽しみにしているのかもしれない。
(文=島野美穂/清談社)

●取材協力/「骨董通り法律事務所」代表パートナー 福井健策

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