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やよい軒、“客の声”を言い訳にした「おかわり有料化」は不誠実…裏に切羽詰まった事情

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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 安い価格を実現できているのは、店舗数の多さからくる高い食材調達力があるだろう。プレナスは国内だけで3161店(19年2月末時点)を展開する。連結売上高は先述した通り1539億円(19年2月期)だ。この規模を生かして食材を大量に仕入れることで単位あたりの食材コストを下げられるので低価格を実現できている。コメはこの恩恵が特に大きいだろう。

 だが、高い調達力をもってしても米価の高騰には抗えなかった。そこで、やよい軒の一部店舗でおかわりの有料化の実験を始めたわけだが、コミュニケーションの失敗で暗雲が立ち込めている。

 ネット上では騒動化してしまったが、実際の現場ではどうなのか。そこで、筆者は実験店の利用客の反応を探るべく、おかわりを100円にした「赤坂一ツ木通り店」(東京・港)を訪れてみた。

 同店はオフィス街にあり、平日の昼時だったこともあり、スーツ姿のビジネスパーソンと思しき人で賑わっていた。

 おかわり自由を希望する場合、券売機でおかわり自由のチケットを100円で購入する必要がある。チケットを購入すれば、黒い茶碗でごはんが提供される。おかわり自由ではない場合は白い茶碗となっており、茶碗の色でおかわり自由かどうかを判別できる。おかわり自由の客は、店内にある炊飯器からごはんをセルフサービスでよそうことができ、何杯でも食べられる。

 同店は1階に16席、2階に50席を設けている。筆者は2階で食事をしながら小一時間、来店客を観察した。60人を観察してみたが、筆者以外で黒い茶碗を持っておかわりをした人は1人だけだった。おかわり自由に100円は高いということだろう。ただ、30円であれば利用客はもう少し多かったのではないか。とはいえ、30円でも無料とは大違いで、拒否反応を示す人は少なくはないと考えられるだろう。

 いずれにせよ、おかわりを有料化するとなると、客離れは避けられない。どの程度の客離れが起きるのかを、実験を通してしっかり見極める必要がありそうだ。もちろん、有料化を見送ることも十分考えられる。プレナスの判断に関心が集まりそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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