NEW
山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

ライザップ、松本晃氏が半年で敵前逃亡した“蟻地獄”…数十社の不振子会社群に慄然

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント
【この記事のキーワード】

, ,


 この構造をすぐに見抜いた松本氏は、不調会社の切り離し、つまり再売却に動いた。しかし実現したのは、SDエンターテイメント(昨年11月に一部譲渡)、ジャパンゲートウェイ(19年1月に売却)、タツミプランニング(同3月に一部譲渡)など、指を折るほどの数にもならなかった。それも松本氏がCOOから離任したあとの実現だった。

 会社を売却することは、買収するよりはるかに難しい。売却先候補を見つけ、資産査定を相互で行い、交渉する。弁護士など多くの専門家が関与し、1件だけでも気の遠くなるような時間と労力が必要だ。それを何十社もしなければならないというわけで、松本氏は慄然としたはずだ。

数十社の赤字が集積するという悪夢

 4月に入りRIZAPはグループ企業の再編を発表している。そこに添付された「RIZAPグループ体制図」によると、子会社群は10の中核企業群に集約されたかのように見える。しかし、内部を精査して見ると、たとえば中核会社の一つとされたRIZAP株式会社の下には10社以上の子会社を収載したりして、トータルすると、いまだに子会社の数が数十社という規模感のままである。18年9月現在では85社あると発表されていた。

 RIZAPがこれらの数十に上る多くが不調な子会社を保持していけば、毎年莫大な赤字が発生する。18年11月の発表では「1年以内にグループ入りした企業の赤字合計額が増加している」とされた。RIZAPは買収した会社の建て直しが得意な会社ではないのだ。売却できたとしても足元を見られ、多額の売却損を覚悟しなければならない。

 私にも観察できるこんな悪夢を、松本氏のような「プロ経営者」が短期に見抜けないわけはない。招聘されたところが実は“蟻地獄”だったことに、松本氏は現場を回ってすぐ気がついたのだ。

社内の抵抗と反発

 次記事では松本氏がRIZAPを逃亡した3つの要因のうち、あと2つを解説し、交代登板となった中井戸氏による経営再建の可能性について評論する。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)

※後編へ続く

※ 本連載記事が『残念な経営者 誇れる経営者』(ぱる出版/山田修)として発売中です。

【山田修と対談する経営者の方を募集します】
本連載記事で山田修と対談して、業容や戦略、事業拡大の志を披露してくださる経営者の方を募集します。
・急成長している
・ユニークなビジネス・モデルである
・大きな志を抱いている
・創業時などでの困難を乗り越えて発展フェーズにある
などに該当する企業の経営者の方が対象です。
ご希望の向きは山田修( yamadao@eva.hi-ho.ne.jp )まで直接ご連絡ください。
選考させてもらいますのでご了承ください。

ライザップ、松本晃氏が半年で敵前逃亡した“蟻地獄”…数十社の不振子会社群に慄然の画像2撮影=キタムラサキコ
●山田修(やまだ・おさむ)
ビジネス評論家、経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導の第一人者。「戦略策定道場」として定評がある「リーダーズブートキャンプ」の主任講師。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)満了。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 「社会人勉強心得帖」』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。

RANKING
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合