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森友問題、最終章へ…国交省作成の証拠資料で偽装発覚、存在しないゴミ層を「ある」と報告

文=青木泰/環境ジャーナリスト
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 今回解析された写真4が示す穴の中の様子は、これらの分析結果と合致し、独特の地層は沖積層の一部と考えられた。そこには埋設ごみの混入がないことが目視で確認でき、メジャーをたどると、白、黄色、白と続いているが、黄色より少し下のところでゴミの層が終わっていることがわかる。深さで見ると2メートル少しのところである。それより深いところは粘土質の堆積層であることがわかる。

 国がごみが存在していた証拠だとするこれら試掘写真資料から、ごみがなかったことが明らかとなり、ようやく森友問題に決着がついたといえる。

表1 写真偽装の事実

<17枚写真資料(近畿財務局作成)>
・写真3と写真16  同じ写真であることを財務省認める  
・写真4と写真17

https://biz-journal.jp/2018/11/post_25642_2.html
      
<21枚写真資料(大阪航空局作成―藤原工業)>
・写真No.7と写真No.10と写真No.11の3枚は同一の穴であると国交省認める  
・試掘穴8カ所と試掘穴20カ所の関係:「20カ所の内、埋め戻さなかった8カ所」
と藤原工業の回答書では回答→しかし同じ位置の写真はなし
・試掘穴No.6~8は、財務省撮影の写真になし。石井国交大臣「そもそも関係ない」
「大事なのは、写真NO1 である」と答弁

森友問題、最終章へ…国交省作成の証拠資料で偽装発覚、存在しないゴミ層を「ある」と報告の画像5写真5:「21枚写真資料」の試掘穴(8カ所)の位置を示す地図(大阪航空局提出)

3月26日の国会論戦

 3月26日の小川敏夫参院議員(立憲民主党)の質疑によって、試掘写真のなかで大事なのは1枚の写真であると国が考えていることがわかった。それは試掘穴1番(A工区・No.1)に示された試掘穴だと、国会論議のなかで石井啓一国交相が改めて強調した。写真偽装問題を一貫して追及してきた小川議員は、いよいよ最後の詰めに入り、これまで表1で示された「17枚写真資料」(財務省作成)や「21枚写真資料」(国交省作成)の偽装に加え、「21枚写真資料」で示されていた8カ所の 試掘穴の内、3カ所(No.6~8)が財務省の撮影した写真のなかに存在しないと指摘した。

 財務省は、「21枚写真資料」が撮影された同じ日の16年4月5日、学園用地内の様子を撮影していた。小川議員は、昨年提出された4000ページの資料に掲載されていたこの財務省の写真を分析した結果、試掘穴(No.6~8)があると示された位置に穴がなく、平地となっていることを見つけたのである。この点を小川議員が質問すると、石井国交相は「地下埋設物の算定には、6、7、8はそもそも関係ないということです」と事務官のメモを見ながら口走ってしまったのである。

 そもそも試掘写真資料は、森友学園用地の地下深部から埋設ごみが出てきたことを証拠立てる重要資料である。そこに示された試掘穴が、実際には学園内になかったとする指摘に対して、「関係ない」とする答弁はあまりにひどい。その上で、「3.8mの深度までごみが確認されたとされる試掘穴1番については、ミスがありません」と石井大臣は答弁した。

 ところがその写真No.1に示された試掘穴1番は、写真3で示したように中が真っ暗でわからないように加工されていたが、前述の通りデータ解析の結果、深部には、ごみ層がないことが判明した。地下深部には、表層部で撤去した埋設ごみの20倍もの埋設ごみがあるとの想定を立証するはずの掘削写真資料は、そのような事実がないことを改めて確認する資料となったのである。

森友問題、最終章に

 
 一度約1000トンの埋設ごみを撤去したその地下深部から、新たに2万トンの埋設ごみが出たという国による奇想天外な主張への反論は、国が示した試掘写真資料によって抑え込まれてしまった。しかし今回、その偽装の実態がほぼ余すところなく明らかになった。

 では、近畿財務局が撮影した「17枚写真資料」で示された埋設ごみの山は、同用地から掘削されたものでないとすれば、どこから持ち込まれたのか。また、どこに運び処分されたのか。

 森友学園用地は、試掘写真が撮影された16年3~4月は、まだ学園用地として賃借中の国有地であり、廃棄物の処分場ではない。したがって、17枚写真資料に写っている産業廃棄物を運んできた事業者は、廃棄物処理法の不法投棄や保管の罪に問われることになり、この時点で森友学園から工事を請け負っていた藤原工業の責任が問われることになる。

 また、その後、17年3月まで廃棄物の山はそのまま同用地内に保管されていたが、藤原工業の産廃マニフェストには、新築系混合廃棄物が194トン、約200トンと報告されていたが、埋設ごみは「ゼロ」であった。

 では、17枚写真資料に写っていた廃棄物は、誰がどこに運んだのか。この点も藤原工業は問われることになる。

 そして次に会計検査院の役割が問われる。すでに同用地は校舎建設にあたり、15年7月から12月にかけて中道組が土壌改良工事を行い、その代金として国が有益費として1億3000万円(内、埋設ごみの撤去費8632万円)を工事業者に支払っている。にもかからず新たな埋設ごみが出たとして約8億円を値引いたということは、二重払いといえる。明らかに不当な会計処理である。これを会計検査院は、ただちにチェックすべきである。チェックできないのであれば会計検査院は必要なく、民間の会計法人に任せるほうがよい。

 森友問題は、写真に写っていた埋設ごみの山がどこから運び込まれ、どこで処分されたのかという新たな局面に入った。最終章の扉が開かれたといえ、国会、会計検査院、検察特捜部が、それぞれの役割を問われることになる。今回発覚した写真偽装問題について財務省、石井国交相、麻生太郎財務相、安倍首相の辞任は不可避である。森友問題事件は、ようやく最終章まできたといえる。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)

森友問題、最終章へ…国交省作成の証拠資料で偽装発覚、存在しないゴミ層を「ある」と報告の画像6

●お知らせ
5月24日18時10分~文京区民センター(丸の内線後楽園前)で森友学園前理事長の籠池泰典氏の記者会見とシンポジウムが開催される。記者会見は、300日の勾留・保釈後1年目の会見であり、夫人の詢子さんも出席し、シンポジウムには、元NHK記者の相澤冬樹氏と筆者も出演する(なお5月26日<19時~>には横浜市関内ホールで、籠池トークショウが開催される)
5月24日申し込み 加藤080-1014-5764 
5月26日申し込み 佐藤070-6481-4362
その他「こくちーず」でも申し込みできます。

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