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スズキ、不正発覚で大量リコールでもCM自粛せず…89歳・鈴木会長の40年独裁経営の歪み

文=編集部
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ガバナンスとコンプライアンスに深刻な問題

 国交省の係官約10人が4月19日、道路運送車両法に基づき、浜松市南区にあるスズキ本社に出入り検査に入った。「販売の影響がどのくらいか見えない」(同社首脳)との不安の声が上がる一方、国交省も「なぜ、すぐに工場を止めなかったのか」と不信を隠さない。日産は3週間、国内6工場で国内向け生産を止めた。スバルは一時、テレビCMを自粛した。スズキは長期の工場停止もCM自粛も行わなかった。そのため、事態の深刻さを経営陣は認識しているのかと批判する向きも多い。

 スズキは2018年3月期までの5年で連結純利益を1075億円から2157億円とほぼ2倍に伸ばした。インドなど海外市場での成長に加え、毎年200億円以上の徹底した原価低減が好業績を支えてきた。

「スズキイズム」と呼ばれる効率主義が、結果的に法令順守や品質管理を軽視する風土につながっていた。「社内の風通しを良くし、しっかり議論できる体質に変えるのが私の役割だ」(鈴木社長)とするが、「鈴木修会長のワンマン体制が是正されない限り、絵に描いた餅に終わるだろう」(スズキの元役員)と冷ややかな見方が強い。

 1月30日に89歳の誕生日を迎えた鈴木会長は、スズキという会社を今日の姿まで育て上げた。その功績を疑う者はいない。だからこそ、日産のカルロス・ゴーン前会長のように晩節を汚す前に、第一線から退くべきだった。

「引導を渡せるのは息子である俊宏社長だけなのだが、その胆力とリーダーシップに欠ける。これがスズキと鈴木家にとっての悲劇」(同)

 スズキはガバナンス(企業統治)とコンプライアンス(法令順守)の面で、深刻な問題を抱えているのだ。それが1978年の社長就任以来、40年以上にわたり同社トップに君臨し続ける鈴木会長に起因することは明らかだ。自らの分も含めた役員報酬額や役員人事は、「鉛筆をなめながら自分で決めている」(別のスズキの元役員)といわれる。もしそれが事実であれば、日産のカルロス・ゴーン前会長と姿がかぶる。

増益予想から一転して17%減益

 スズキが5月10日に発表した2019年3月期の連結決算は、純利益が1787億円で前期比17%減となった。2%増の2200億円との予想から413億円下方修正となり、一転して減益となった。完成車検査の不正に伴うリコール(回収・無償修理)費用を特別損失として813億円計上。これが利益を押し下げた。

 売上高は前期比3%増の3兆8714億円、営業利益は同13%減の3243億円だった。

 インド子会社のマルチ・スズキは連結純利益が3%減の750億ルピー(約1193億円)。3年連続で最高益を更新していた前期から一転して減益となった。
(文=編集部)

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