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田中圭太郎「現場からの視点」

日大・田中理事長を元副総長らが刑事告発…タックル問題から1年何も変わらず、志願者激減

文=田中圭太郎/ジャーナリスト

近く田中理事長や理事に対して刑事告発と民事訴訟へ

 牧野氏は「問題が解決しないなか、危険タックル問題から1年が経ったところで、新しいステップを踏まないといけないと判断しました」と述べ、田中理事長らの責任を追及する行動を始めることを明らかにした。

 一つは刑事告発。容疑は「背任」を検討している。田中理事長は危険タックル問題が起きているなかで、自己の利益を優先させて責任ある対応をせず、その結果、大学に私学助成金の減額などの大きな損害を与えた疑いがある、というものだ。告発の対象者は、田中理事長以外の理事についても可能かどうか検討している。

 もう一つは民事訴訟。危険タックル問題への対応で、大学のイメージや評価がダウンしたことにより、学生や教職員など関係者が精神的に傷つけられたとして、慰謝料などの損害賠償を求めるものだ。田中理事長を含む理事全員を相手取る方向で検討している。すでに少なくとも10人近くの教職員が原告になることが決まっていて、大学院生にも訴訟への参加を呼びかけるという。

 つくる会では「社会問題として広く支持を得たい」として、民事訴訟の費用をクラウドファンディングで募っている。クラウドファンディングの期間は7月末まで。また、これまでに300人以上から350万円の寄付金も集まっているという。来月以降、それほど遠くない時期に刑事告発と民事訴訟を進める予定だ。

文科省に監査などを求める要望書を提出

 つくる会はさらに、田中理事長体制下で噴出している、さまざまな疑惑についても追及する構えだ。5月4日には、文部科学大臣宛てに要望書を提出した。大学の監督所轄庁として、次の3点について対応するよう求めている。

(1)早急に日本大学自体の経営・経理実態、並びにその学校法人と事業部との関係、事業部の経営・経理実態等について監査(立ち入り調査等)を実施し、適宜必要な措置命令等を発すること。

(2)田中理事長の反社会的勢力との交際関係をめぐる指摘は根強く、事実であれば、大学理事長として全く相応しくない行跡であり、速やかに自ら真実を積極的に説得力ある釈明をするよう行政指導をすること。

(3)日本大学への私学助成金減額の理由の詳しい内容の開示と、大学が何らかの改善措置をとったとすればその内容を開示すること。

 3点のうち、(1)と(2)は説明が必要だろう。(1)の事業部とは、株式会社日本大学事業部のことだ。各学部に必要なものを一括購入するなど、大学の運営を補佐する目的で2010年に設立された。ところが、業務内容は保険代理店から冠婚葬祭まで約70種類に拡大し、売り上げも2017年12月期には69億円に急拡大している。

田中圭太郎/ジャーナリスト

田中圭太郎/ジャーナリスト

ジャーナリスト、ライター。1973年生まれ。大分県出身、東京都在住。97年、早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年からフリーランスとして独立。警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピック、大相撲など幅広いテーマで執筆。著書に『ルポ 大学崩壊』(ちくま新書・2023年2月9日発売)、『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)。メールアドレスは keitarotanaka3000-news@yahoo co.jp、 HPはジャーナリスト 田中圭太郎のWEBサイト

Twitter:@k_taro_tanaka

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