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東京都庁舎、維持費だけで年間40億円…区庁舎建て替えラッシュの裏に“豊島区モデル”

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 新庁舎の建て替え計画を進めていた豊島区にとっても、増田レポートで激震が走ることになった。なぜなら、増田レポートで豊島区は「東京23区で唯一、消滅可能性がある」と指摘されていたからだ。豊島区は若者であふれる池袋を擁するだけに、人口減・高齢化とは無縁のように思われてきた。それだけに、増田レポートは豊島区を大きく揺るがす。

「増田レポートの反響は大きく、区民からもお叱りに近い電話をたくさんいただきました。また、区民が集まる場でも、『どういうことなんだ』『詳しく説明してほしい』と詰め寄られることもありました」と話すのは、豊島区のある職員だ。区民から殺到した声には、「税金を投入して、新しい庁舎なんてつくっている場合じゃない」という意見が強かった。

 しかし、豊島区の新庁舎建設は、区民から徴収した税金をいっさい投入していない。

「豊島区の旧庁舎跡地は、定期借家制度を使って民間に貸し出します。そのため、賃貸収入が約191億円も生まれます。また、再開発による国からの補助金制度を活用して約106億円の補助金が入ります。さらに、新庁舎の上階はもともとの地権者の住居になりますが、地権者以外にも新たな入居者を募って販売しますので販売収入も入ります。定期借家の賃貸料・補助金・販売収入の3つにより、豊島区は“実質0円”で区庁舎建設を実現できたのです」(前出・豊島区職員)

金をかけず、シンボルになる建物を建てる

 今般、ITによって市役所や区役所といった役場には足を運ばずとも、公的な手続きが可能になっている。また、民営化や民間委託化なども進み、税金や健康保険などの公的な支払いも銀行ATMやパソコン、コンビニでできるようになった。

 こうした変化により、区民は役所まで足を運ばなくなった。さらに、本来は役所の業務でもあった住民票や納税証明などの交付も、一部の自治体ではコンビニ交付が可能になっている。そうした状況が、庁舎の不要論を強くしている。

「そうした状況の変化もあって、『奢侈な庁舎はいらないのではないか?』という指摘も多々ありました。しかし、庁舎はその自治体の顔ともいえる建物です。あまりに貧相な建物にしてしまうと、区のイメージを悪くすることにもつながります。実際、区民からは『区庁舎はシンボル。大きな建物にするべきだ』という意見も根強くあります」(同)

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