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東京都庁舎、維持費だけで年間40億円…区庁舎建て替えラッシュの裏に“豊島区モデル”

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 金をかけず、それでいてシンボルになるような大きな建物にする――そんな相反した考え方を両立させたのが豊島区の区庁舎だった。

 豊島区庁舎の建て替えが成功事例として各自治体に伝わると、庁舎の建て替えに慎重になっていた自治体が続々と視察に訪れる。そして、豊島区のスキームを模倣していくことになった。

有権者の厳しい監視

 しかし、庁舎建設は初期費用もさることながら、年間の維持費や補修費も莫大になる。最近では庁舎内にコンビニやカフェなどの店舗を入れ、その家賃をランニングコストに充てるといった手法が増えている。

 それでも、家賃で得られる収入では庁舎の年間維持費すべてを賄うことはできない。特に年間維持費が高いと批判されがちなのが、東京都庁舎だ。

「都庁舎の年間維持費は約40億円とも試算されており、そのほか、時代に合わせた耐震化、近年では環境に配慮した太陽光発電や緑化も求められるようになった。これらの費用は年によって変動するので簡単には算出できないが、年間20~100億円かかるといわれています」(東京都職員)

 都庁舎は竣工から、まだ30年も経っていない。それなのに、早くも各所で雨漏りが発生し、通常のメンテナンスとは別に補修費が膨らんでいる。都庁舎の改修費用は、一般財源を充てずに未活用の都有地を売却するなどして資金を捻出する方針にしている。だが、その都有地も都民の財産であることはいうまでもない。都有地を売却するということは、都民の財産が目減りすることを意味する。

 2020年前後に、各自治体の庁舎は一斉に更新期を迎えた。弱りはてた自治体は、さまざまな策を駆使して税金をできるだけ使わない方法を編み出した。それは、有権者が税金の無駄遣いに目を光らせていたから、編み出された錬金術でもある。有権者が税金の無駄遣いに関心を寄せなければ、無計画に不必要なハコモノがあちこちにつくられてしまうだろう。実質0円でつくられた豊島区庁舎を礼賛する向きは強いが、それも有権者の厳しい監視があってこそ。絶えず、行政を監視することを怠ってはいけない。 
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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