5G対応スマホはロボマシンに逆風?

 中国事業は大別して2つだ。工作機械の頭脳であるNC装置などFA関連は工場の省力化に欠かせない。しかし、米中貿易戦争で企業が省力化投資を見送る動きが広がった。

 より深刻なのは、スマホの生産に使うロボドリルだ。

「ファナックは、もうスマホでは以前のように稼げなくなるかもしれない」

 株式市場からはこんな見方が浮上している。というのは、高速次世代通信規格である「5G」対応スマホの普及がファナックに逆風になるとみられているからだ。

 5Gスマホの本体は、金属ではなくガラスや樹脂など電波に影響しにくい素材に変わるといわれている。5Gは従来より高い周波数の電波を使うため、金属では電波が通りづらくなる恐れがあるからだ。金属を加工するロボドリルの出番が減る可能性が高いと市場では懸念されている。

工場のIoTデータシステムを次の成長の柱に育てる

 4月1日、実質創業者である稲葉清右衛門氏の息子、稲葉善治会長兼CEO(最高経営責任者)がCEOを退き、山口賢治社長兼COO(最高執行責任者)が社長兼CEOとなった。稲葉氏は引き続き代表権を持つ会長にとどまる。

 経営トップに就いた山口氏は、NC装置やロボットに続く牽引役を育てることに挑む。あらゆるモノがインターネットとつながるIoTを通じて、工場を見える化する「フィールドシステム」という仕組みづくりだ。工作機械など工場内のさまざまな設備をインターネットで接続し、機器から得られるデータを可視化して生産性を向上させる。

 人工知能(AI)ベンチャーのプリファード・ネットワークスと共同で工作機械の故障を未然に防ぐ技術を開発した。この機能を活用することで、消耗した部品を故障前に交換することが可能となる。

 世界のマーケットを俯瞰すると、独シーメンスなどライバルが多い。国内でも三菱電機や日立製作所などが数年前からIoTの基盤づくりに資源を投入しており、競争は激しい。NC装置やロボマシンのように圧倒的なシェアをファナックが握れるかどうかは未知数だ。

 20年3月期の業績を上方修正することができるのか。中国市場の回復を待つ厳しい1年になることだけは間違いない。
(文=編集部)

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