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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

勤労統計、再集計後も18年の常用雇用指数に不自然な断層

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厚生労働省(「Wikipedia」より/BlackRiver)

賃金よりも常用雇用のほうが大きく修正された再集計値

 厚生労働省では、毎月勤労統計を不適切に調査していたことから、統計に大きなずれが生じていた。そのため、同省は1月23日に2012年以降の再集計値を発表している。

 毎月勤労統計は、働く人の一人当たりの平均賃金や労働時間などを調べ、500人以上の事業所はすべて調べていることになっていたが、2004年から東京都分は3分の1しか調べていなかった。このため、中小企業に比べて賃金の高い大企業が抜け落ち、これまで公表してきた名目賃金は実際より過少だったことから、2018年の賃金の伸びは下方修正されることになる。

 事実、1月23日に公表された毎月勤労統計の再集計値によれば、2018年の名目・実質賃金の伸びが、それぞれ前年比+1.7%→+1.3%、+0.6%→+0.2%と▲0.3%ポイント下方修正された。しかし、それ以上に常用雇用指数が同+1.5%→+1.1%と▲0.4%ポイントも下方修正されていることがわかる。

常用雇用指数に不自然な断層

 実は、常用雇用指数が大きく下方修正された背景には、2018年のサンプル替えのタイミングで生じた指数の断層が大きく拡大したことがある。


 こうしたサンプル替えに伴う断層を見るのに、もっともわかりやすい指標としては、雇用・労働時間・賃金の各指数等の主要系列について原数値と併せて公表される季節調整値がある。雇用や賃金等が前月と比べて増えたか減ったかを見るとき、それが例年のパターンなのか経済実態を反映した動向なのかを見分ける必要がある。そのため、季節調整値ではこのような例年のパターンを取り除いて、直接前期のデータと比較できる。

 実際、季節調整値で最近の毎月勤労統計の動きを見ると、賃金指数については名目も実質も従来の値と再集計値の間に大きな差がなく、名目賃金は緩やか上昇トレンド、実質賃金は横ばいで推移していることがわかる。


 ただし、常用雇用指数は再集計値で2018年1月に大きな段差が出来ており、常用雇用の実態を必ずしも正確に反映してない可能性がある。特に、アベノミクスがより重視をしているとされる総賃金で考えた場合、毎月勤労統計では2018年1月以降に常用雇用指数が下振れしている傾向にあり、家計所得動向を把握する上では問題があるといえる。


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