NEW
藤和彦「日本と世界の先を読む」

絶好調の米国経済に死角あり…高油価でもシェール企業破綻、ジャンク債暴落へ警戒高まる

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 今年に入りOPECなどの新たな協調減産のおかげで原油価格が回復する(1バレル=60ドル前後)と、ジャンク債、CLO市場ともに落ち着きを取り戻している。シェール企業の採算ラインが原油価格1バレル=50ドルとされていることから、市岡氏は「原油価格が1バレル=50ドルを下回れば米国株式市場に赤ランプが点る」と警鐘を鳴らしている。

 だが原油価格が採算ラインの50ドルを大きく上回っているにもかかわらず、このところシェール企業の倒産が相次いでいる(5月20日付OILPRICE)。5月に入ると80億ドル規模の債務を抱えたシェール企業が連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)を申請する事例が生じている。

 原油価格が1バレル=30ドル割れした2015年から2016年にかけて、100社以上のシェール企業が倒産を余儀なくされた。その後、原油価格が上昇傾向に戻ると倒産の「波」は収まったが、ここに来て「再び倒産ラッシュが起こるのではないか」との懸念が生じている。この企業を対象にしたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、中長期的な見通しは厳しいが短期的に破綻を回避すれば利益が得られるデリバテイブ商品)を購入していたゴールドマンサックスは、突然の破産申請で損失を被るとされている(5月24日付ブルームバーグ)。CDSといえば、リーマンブラザーズを破綻に追い込んだ元凶であり、世界的な投資家ウオーレン・バフェット氏から「金融大量破壊兵器」と呼ばれた代物である。

 昨年後半からの金融当局の引き締め効果がじわりじわりと現れ始め、シェール部門への資金流入が減少していることから、高油価にもかかわらず資金繰りに窮するシェール企業が増加しているからである。この傾向が鮮明になれば、ジャンク債、CLO市場が再び動揺し、株価暴落の引き金になりかねない。

「大統領支持率はダウが決める」

 今や世界最大の原油生産国となった米国。サウジアラビアと同様、石油産業の動向が自国の経済(株価)を左右する構造となったといっても過言ではない。トランプ大統領は自らの再選のためには「高株価の維持が不可欠だ」と考えている。

 産経新聞の田村秀男氏によれば、1985年12月から2018年9月までの期間の米国の株価とGDPの相関係数は0.96と極めて高い。家計資産に占める株式や投資信託の比率が高いことから、株価が下がれば有権者の不評を買い、大統領の支持基盤が揺らいでしまう。「大統領支持率はダウが決める」と言われるゆえんである。

 トランプ大統領は株価対策のために「米FRBに1%利下げせよ」と要求しているが、企業債務の膨張に警戒し始めたFRBはこの要求に応じるかどうかは定かではない。
(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

絶好調の米国経済に死角あり…高油価でもシェール企業破綻、ジャンク債暴落へ警戒高まるのページです。ビジネスジャーナルは、連載、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

Ranking
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合
BJ おすすめ記事