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小笠原泰「日本は大丈夫か」

安倍政権、「年金支給開始70歳」を検討か…定年引き上げで企業に実質“年金”負担させる

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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安倍政権、「年金支給開始70歳」を検討か…定年引き上げで企業に実質“年金”負担させるの画像1左が経団連の中西宏明会長(写真:つのだよしお/アフロ)

 経団連中西宏明会長が「終身雇用維持は困難」「通年採用の拡大」と発言して、世間を騒がしている。

 4月19日、中西会長は「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、そういうことだというふうに(大学側と)お互いに理解が進んでいるので」と述べた。それを受けて、経団連は4月22日、大学側との産学協議会で新卒学生の通年採用を拡大することで合意し、正式に発表した。協議会後の記者会見で中西会長は、終身雇用に関して「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」と強調した。

 経団連は大学も巻き込んで、雇用に関して大きく舵を切ったわけである。安倍晋三首相をはじめ、政府はこれを聞いて良い顔はしないだろう。安倍氏の言うことをなんでも聞いた榊原定征前会長とは対照的である。

 この発言について世間では賛否両論あるが、筆者としては、経営環境の変化への企業の適応、特にグローバル市場での生き残りをかける日本企業にとっては当然の選択であろうと思う。従業員や就活を迎える学生としては「ふざけるな」という思いかもしれないが(学生の終身雇用願望は意外と強い)、「飼い主」の企業が死んでしまっては元も子もない。少なくとも今後の経営環境を考えれば、「自分でもできる仕事を用意するのが企業の責任だ」という開き直りは、もはや通用しないと思ったほうがよい。

 筆者は繰り返し言っているが、現在の日本の状況は、「生き残るためには急速に変わらざるを得ないことを理解し、変身を始める合理的な企業」と「変わりたくない、変えてはいけないと悪あがきをする非合理的な国家」、その狭間で「リスクテイクの判断を迫られ、変わらなければいけないと思いつつ、体が動かない思考停止状態の個人」といった構図である。そのなかで個人は現実を見据えて、どうしたら良いかをよく考えたほうがよい。

政府へのカウンターメッセージ

 では、なぜ中西会長は「終身雇用維持は困難」「通年採用の拡大」と言い出したのであろうか。明らかに、「一括採用」と「雇用維持」を強化すると言っている政府の方針とは逆である。

 中西会長が就職協定を廃止すると言ったのは、半年前の昨年10月である。これを受けて、政府はお決まりの「あらぬ混乱を避ける」という無意味な枕詞で、経団連の示した方向とは逆に、政府管理で就活協定を厳格化すると明言した。採用につながるインターンの禁止という現実乖離のおまけつきである。

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