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堀田秀吾「ストレス社会を科学的に元気に生き抜く方法」

昼休みに“これ”をやると、なぜか午後も眠くならない!仕事の効率も下がらない!

文=堀田秀吾/明治大学法学部教授
昼休みに“これ”をやると、なぜか午後も眠くならない!仕事の効率も下がらない!の画像1「Gettyimages」より

 午後になると、仕事で疲労も蓄積してくるのか、仕事効率が悪くなったり生産性が落ちたりします。午前中と比べても時間的に長い長い戦いです。

 午前中の疲れを癒し、午後の戦いに挑むための心と体の準備の時間となる昼休み。みなさんは、どう過ごしていますか? ランチを食べに行ったり、食事のあとは携帯やパソコンをいじったりしているうちに昼休みは終わってしまいますが、この昼の時間帯を上手に使えば、午後の仕事の生産性も上がります。

 ということで、今回は午後の仕事の生産性を上げる昼休みの過ごし方について、(1)運動、(2)昼寝、(3)コメディーを見るという3つの観点から考えていきます。

(1)運動:10分間の中強度運動(ペダル運動)が生産性を上げる

 筑波大学の征矢英昭教授と農研機構の檀一平太氏の共同研究グループが行った実験で、エアロバイクのような中強度の運動を10分程度すると、注意や行動と関係する脳の働きが向上するということが明らかになりました。

 実験では20名の被験者に、光トポグラフィという装置を使って、運動直後に文字の色と文字の意味が同じか違うかを答えさせる「ストループ課題」という課題に取り組んでもらい、その間の脳の活動を観察しました。結果、運動した場合には、反応時間も正答率も上がっていたのです。しかも、適度な運動はメタボリック・シンドロームのリスクを下げるのにも役立ちますから、昼休みにご飯を食べたら、腹ごなしに10分ほどジョギングや早歩きウォーキングなどをしてみてはいかがでしょう?

(2)15分の昼寝が生産性をあげる

 せっかくの昼休みに運動するのは面倒臭い、あるいはそもそも運動は苦手とお思いになる方もいらっしゃるでしょう。そういう方におすすめなのは昼寝です。昼寝の効果についてはたくさんの研究があります。ここでは脳の反応について調べた産業医学総合研究所の高橋らの研究を紹介します。

 この実験では、昼食後に昼寝をしないグループ、15分間昼寝をするグループ、45分間昼寝をするグループに分けて、昼食前、昼食の30分後、昼食の3時間後に、認知機能に関係する脳波、眠気、心電図を計りました。被験者は、ヘッドホンから聞こえてくる音を聞き分けて、ターゲットとなる音が聞こえたらボタンを押すという課題をしました。

 結果、15分の昼寝をしたグループは、45分昼寝をしたとき及び昼寝をしなかったグループよりも、昼寝の30分後、3時間後の両方において脳の反応が早く、眠気に関しては、昼寝をしたグループのほうが感じないということがわかりました。つまり、昼寝をしたほうが眠気は少なくなるし、昼寝をするなら15分くらいのほうが頭が冴えるということです。しかも、その効果は3時間経っても続いていたのです。厚生労働省も、仕事の合間の昼寝を推奨していますし、天候が悪く、外で運動しにくいとき、そして運動をしたくない方などは、ぜひ昼寝を試してみてください。

(3)コメディーを見ると、生産性があがる

 最後に、昼休みの運動も苦手、昼寝もできないという方におすすめなのが、コメディー映画を見ることです。一見奇抜なアイディアに見えますが、コメディー映画は楽しい、幸せな気分にさせてくれますよね。そういった気持ちで仕事に取り掛かるのが大事だということです。

 イギリスのウォーリック大学のオズワルドらの研究ですが、1つ目の実験では、コメディーの映像を見たグループと見なかったグループでは、その後に行った5つの2桁の数字の合計を求めるという作業を10分間にわたって答えるという作業のパフォーマンスにおいて、映像を見たチームのほうが高かったのです。

 2つ目の実験では、同じようにコメディーの映像を見せたのですが、幸福感が高い人ほどより高いパフォーマンスを見せることがわかりました。3つ目の実験では、チョコレートやフルーツや飲み物が振る舞われ、振る舞われたグループはやはりパフォーマンスが良かったのです。

 そして4つ目の実験では、最近に起こった辛い出来事についてアンケートに記入してもらったところ、辛い出来事を書いた人たちは、パフォーマンスが悪かったのです。

 この実験でいえることは、幸福感のある人はパフォーマンスが良く、コメディーの映像は見た人に幸福感を与えるのでパフォーマンスが良くなるということです。コメディではなくても、マンガを見て幸福感が得られるならそれでもいいですし、大切なのは、そういった「幸福感の素」に昼休みに触れることです。

 このように、昼休みをどう過ごすかが午後の作業効率に影響を与えるわけですから、それぞれ自分に合った方法を実践してください。
(文=堀田秀吾/明治大学法学部教授)

Yanagisawa, H., Dan, I., Tsuzuki, D. et al (2010). Acute moderate exercise elicits increased dorsolateral prefrontal activation and improves cognitive performance with Stroop test. Neuroimage., 50, pp. 1702–1710.
Takahashi, M., Fukuda, H., & Arito, H. (1998]. Brief naps during post -lunch rest: effects on alertness, performance, and autonomic balance. European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology., 78(2), pp. 93-98.

Oswald, A. J., Proto, E. & Sgroi, D. (2015). Happiness and productivity. Journal of Labor Economics., 33 (4). pp. 789-822.

堀田秀吾/明治大学法学部教授

堀田秀吾/明治大学法学部教授

 専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、神経言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学など様々な学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。

Twitter:@syugo_h

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